きみを好きになって～S・O～３ (ページ48)

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隣りの県に住む姉が車で拾ってくれるというから、朝を待たずに家を出た。

お母さんからの、

「もしも、の時のことを考えて支度をして来なさい」

という伝言を受け取って、気が重い。

そして持って行ったフォーマルを着ることになってしまった・・・。

携帯の充電器は持っていたけど、会社に連絡をいれた時を最後に携帯を見ていなかった。

慶弔休暇の申請の連絡をする時に智くんからのメールに気付いて読んだけど、とてもじゃないけどそんな気になれず、返信はしなかった。

やっと携帯を手にしたのは翌日の夜。

『ごめんなさい。
今は無理です。』

慶弔休暇に有休を合わせて何日かこっちにいるつもりだったから、東京にはすぐ帰れない。

最小限の文でそれを伝えた。

『今どこにいるの？』

すぐ返信があって、びっくりした。

今なら電話で話せるんだろうけど、泣いてしまいそうだからやめてまたメールを打つ。

『実家です。』

「A、ちょっと来て。」

お母さんに呼ばれて携帯を置いて部屋を出たから、そこでやり取りは終わった。

寝る頃になって智くんからのメールに気付いた。

『なんで実家？
何にも教えてくれないんだね。』

・・・だって突然の出来事なんだもの。
それにあんなとこ、女性と腕組みしてる智くんを見てしまった後に、何が言えるっていうの？
なんで何事もなかったように聞いてくるの？

高齢で多少なりとも介護が必要だったおばあちゃんだったから、遠くないうちに別れが来るって覚悟はしていたつもりだったけど、実際その日を迎えてしまうと突然の別れのショックと悲しみで、心の中はいっぱいになっている。

正直なところ、今は智くんのことまで考える余裕がないの。

そう伝えれば、伝えられたら良かったんだけど・・・。