きみを好きになって～S・O～３ (ページ35)

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Aの誕生日になったと同時におめでとうメールを送った。

『誕生日おめでとう！
このひとことを送れてよかったよ。』

この日は早く帰れるかわかんなくて言ってなかったけど、時間があったらAんちに行こうって思ってた。

この前外でメシ食ったけど、やっぱ当日顔見て

「おめでとう」

って言いたいなって。

昔はこんなこと思ったことなかったし、正直プレゼントだってアクセサリーとかあげたこと・・・あったかなぁ。

あげたいって思わせる何かがAにはあるんだと思うけど。

比較的早く帰れたから、一旦車で送ってもらって、チャリでAんちに向かった。

途中、コンビニでケーキを買ってさ、ふたりで食べるつもりでいたんだ。

マンションの前に車が停まってたから、見つからないように手前で降りてチャリを押す。

そしたらマンションから人が出てきて、それがAだったから足が止まっちゃった。

車から出てきたのは、背の低いなんか見覚えのある男。

もしかして？

「すみません」

「いいんです、ついでなんで。」

周りが静かだから話してるのが聞こえる。

男が差し出す荷物を受け取る遥。

「母には言っておきましたから、もうこんなことはないと思います。」

「きっと、僕がなかなか動かないから、きっかけを作ってくれたんだと思います。
今日誕生日だって伺って。
おめでとうございます。」

「あ、ありがとうございます・・・。」

「よかったら、明日の夜、食事に行きませんか？
その時、ゆっくり話せたらと思うんです。」

「・・・はい。」

なんだよ、それ・・・。

走り出した車を見送って振り返ったAがおいらに気付いて、驚いてる。

Aの近くまで寄ってケーキを彼女に押し付け

「見合いでも何でもすれば？」

自分でも冷たい声が出たと思う。

そのまま家に引き返した。