きみを好きになって～S・O～３ (ページ31)

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智くんと入れ違いで戻って来たAさんは、何かあったのかと思わせるような雰囲気。

ずっと沈黙っていうのも気まずいから、東京に戻った夜のことを聞いてみようかって思っていたんだけど・・・。

彼女の方から声をかけてきて、おれも話にのっかった。

その流れでこの前のことを聞いてみる。

でも、口が重いな。

「ひとりで抱え込んでいるんなら、話ぐらい聞きますよ。
智くんだけの問題じゃなくて、おれたち共通の立場なんで・・・。」

そう言ったら、Aさんが泣きそうな表情になった。

頑固なのか、なかなか言い出さない。

智くんが戻って来たらこの話は出来ないから、有無を言わさず連絡先を交換して。

もちろん智くんには内緒だし。

何でこんなに智くんのプライベートに踏み込んでるんだろうって思うけど、それでも止められない。

智くんにはいつも笑顔でいてほしいし、それがおれたちの精神安定にも繋がってるって思うんだ。

「おれたちが恋愛するとみんな同じで、相手に辛い想いをさせてしまうんです。
だから手遅れになる前に連絡してください。」

「ありがとう・・・。」

「そのひとは、智くんに言えないひとですか？」

Aさんが息を吞んだ。

その時微かにドアが開く音がしたみたいだったけど、彼女を止められなくて。

「お正月に・・・親がお見合いのようなことを計画してて・・・。」

声が小さくて、お見合いって言葉だけがおれの耳に届いた。

「お見合い！？」

まずい！って思ったけど大きな声が出てしまった。

「しっ！声が大きいです・・・。」

「見合いしたの？」

「・・・したつもりは・・・ないです。
そのあと、熱で倒れてしまって・・・。
でも、親はそのつもりだったようです。」

Aさんの声は小さいまま。

「あなたは？
どうしたいんですか？」

答えを聞く前に智くんが姿を見せた。

タイムオーバーだ。