きみを好きになって～S・O～３ (ページ30)

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櫻井くんと２人だけになると、途端にその場の空気が重くなる。

それを櫻井くんも感じたのか、何か言いたそうなそぶりだ。

何か話さなくっちゃ・・・。

「櫻井くんがこのお店、選んでくれたって聞きました。
ありがとうございます」

「あ・・・まぁ。
仕事柄個室のある店とか沢山知ってるから。
ふたりの初デートの役に立てて良かったです。」

「…本当に筒抜けですね。」

智くんが自分から私の事を話すとは思えないし、今までの事を考えたら話さなきゃいけなくなったって感じかな。

「・・・余計なことだけど、車で送ってくれた人のことは・・・智くん知って・・・。」

「・・・いいえ。」

やっぱりあの時のことを聞いてきた。

そうだろうとは思っていたけれど・・・。

「ひとりで抱え込んでいるんなら、話ぐらい聞きますよ。
智くんだけの問題じゃなくて、おれたち共通の立場なんで・・・。」

「話ぐらい聞く」

その言葉にドキッとさせられて、次の瞬間には目頭が熱くなっていた。

智くんに秘密にしてほしいって頼んだのは自分なのに、友達や親にさえ言えないことが苦しくて。

智くん側の、一番秘密にしててほしかった4人のうちの１人にそんなこと言われるなんて。

話してもいいひとがいたんだって気が付いたら安心できて、嬉しくなったみたい。

でも、でもね。

櫻井くんだって智くんと同じなんだよ。

今自分で言ったじゃない。

智くんだけの問題じゃない、共通の立場って。

「まぁ、だいたい予想はつくけど。
じゃぁ、赤外線。」

櫻井くんが自分の携帯を出した。

目で促されるまま、私も携帯を出して連絡先を交換した。

「おれたちが恋愛するとみんな同じで、相手に辛い想いをさせてしまうんです。だから手遅れになる前に連絡してください。」

智くんには内緒でねって櫻井くんはアイドルスマイルを見せた。

彼になら話してもいいのかな。