127 Oside ページ27
ツァーが終わって、少し時間に余裕ができたから、絵とか創作に力を入れようって決めた。
Aのことを忘れたわけじゃないけど、ひとりの時間も必要なんだ。
メールはしてたけど朝の
「おはよう」
とちょっとした近況報告ぐらい。
忙しい時はずっと会えないこともあったから、Aはわかってくれてるって思い込んで作品をひとつ完成させるまで没頭してた。
そんな日を送るなかで、やってきた翔くんを含む３人での・・・食事会？
Aと初めて外で会うってことで、朝からなんかヘンな気持ち。
デートってこんな感じだっけ？
タクシーで翔くんと店に行くとAはすでに来てて、部屋の中で落ち着かなそうに待ってた。
「こんばんは。」
「こんばんは。
すぐわかりました？」
翔くんが聞くと
「はい。調べてきたので。」
「緊張してる？」
「だって・・・個人的にこういうお店来るの初めてだもの。」
「おれだってこんなとこ来たことねぇよ。
全部翔くんに選んでもらったんだ。」
「とにかく、おれは早々に消えるから何か食わせて。」
翔くんはお邪魔虫なのを充分わかってて、それでもおいらたちのために来てくれて。
「智くんの奢りだからね、いっぱい食ってやる。
Aさんも、どんどん食べていいからね？」
「翔くんも誕生日だもんね。
祝ってやるから。」
「いいよ、ついででさ。」
気を遣ってくれた翔くんのおかげで、Aも友達のように翔くんと話せているみたいだった。
その笑顔だけで今日連れてきてよかったって思う。
トイレに立ったAがなかなか戻ってこなくて、心配になったから様子を見に行こうと部屋を出た。
翔くんもそろそろ帰るみたいだし。
「女子トイレに行くの？」
いや、さすがにその辺までだよ。
トイレに向かう途中の通路で話してる男と女がいて、それがAだとすぐ気付いた。
こんなとこ来たことないって言ってたのに、知り合い？
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作者名：Fg | 作成日時：2014年9月19日 16時
