きみを好きになって～S・O～２ (ページ46)

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まさか櫻井くんが家に、私に会いに来るとは思ってもいなかった。

なんで智くんが来ないんだろう。
よりによって何で櫻井くん？

ぐるぐる頭の中でいろんな思いが回っている。

会いたくはないって思っていても、今玄関の前に来られては会わないわけにはいかない。

話があると言われて緊張して櫻井くんの前に座る。

あーやだな。
きっとこれが智くんの彼女？とか思われているんだろうな・・・。

智くんに頼まれて来たっていう櫻井くんに

「智くんは何故来ないんですか？
連絡とれないのは彼の意志ですか？」

なんだか苦しくて声が擦れてしまった。

週刊誌に載った女性が本命で、もう会いたくなくて櫻井くんに頼んだのかなって考えが頭をよぎる。

「順に話しますね。
智くん、先週末に釣りに行ったようで、その時、夜の海に落ちたそうです。」

「えっ・・・」

夜の海に・・・落ちた？

聞き間違いかと思った。

確かに釣りに行くって言ってたけど・・・。

そのあとの櫻井くんの話もすぐには信じられない内容で、

「そんな・・・」

うまく言葉が出てこない。

「週刊誌に載ったのは知っていますか？」

櫻井くんの言葉にまたドキっとする。

でも櫻井くんから聞いてしまうのはどうかと思う。

たとえそれが本当のことでも言い訳でも、智くんの口から聞きたかったからきっぱり言ったんだ。

「智くんは今、その記事が出たことで外出禁止です。
仕事場以外出られません。」

やっとすべての疑問が解けた気がした。

急に連絡が取れなくなったのも、会いに来てくれないのも、櫻井くんに頼んだのも、私が思ったようなことではないってこと。

それにしても、未だにもしかしたらって思ってしまう自分が嫌でたまらない。