きみを好きになって～S・O～２ (ページ43)

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智くんから彼女の名前と部屋番号を教えてもらった。

アトリエと同じマンションで、それも偶然だなんてすごいよ。

近くに見つけたコインパーキングに車を止めて、智くんから預かった鍵でマンションに入って階段を上がる。

「フツーのひとだからね。すげぇマイナス思考で、多分翔くんの反応を気にすると思うから。
それと、おいらよりひとつ年上だからね。」

って智くんは言ってたけど。

インターホンを鳴らして出た相手に

「柚木Aさんのお宅ですか？
智くんの・・・友人の櫻井といいます。」

「えっ・・・。」

驚いてんのがわかるな。

「開けてもらえますか？」

「は、はい。」

しばらくすると静かにドアが開いた。

タイプじゃない子を好きになったことある？

いつかの智くんの言葉が思い出される。

期待しないでって言ってた智くん。

その意味が分かった気がするよ。

「中へどうぞ・・・。」

「お邪魔します。」

おれの前を歩く智くんの彼女は、背が低くてぽっちゃりした子。

うん、おれの知る限り、智くんのタイプじゃない。
年上か？

通されたリビングに入ると、何か料理をしていたようなにおいがしていた。

テーブルには食事の支度。

まるであの日の智くんの部屋と同じ光景だ。

「食事中でしたか？すみません。」

「あ、いえ・・・。
作ってはみたんですけど・・・、食欲なくて・・・。」

やっぱりそれは智くんのことが原因かな？

Aさんが勧めてくれたソファーに遠慮なく座って、そのままキッチンに行こうとする彼女を呼び止めた。

「あ、話があるんです。
智くんの伝言もあって。」

おれの前に座ったAさんは強張った顔つきだ。