78 Sside ページ28
「いつだったっけ？
春前・・・まだドラマに入る前？
メール改行とかタイプじゃない子とか話したよね。
その子なんだよね？」
もう話してくれるかと思ってたたみ掛けるように質問してみる。
「・・・」
「ドラマの最中から？」
「・・・」
認めたのにダンマリかよ。
そっちがそうならこっちにも考えがある。
「じゃあさ、何でおれは智くんをあのマンションまで送ってったの？
アトリエって言ってたけど、たった数分何しに行ったの？」
「・・・言わなきゃダメ？
秘密にしてって言われてるんだけど。」
「彼女のことはもういいよ。
いつからとか、どんな子とかは言わなくていいから、今日何があったのか何であの場所に行ったのか、教えてよ。」
伊達に13年一緒に居るわけじゃないよ。
ほら、目が泳いでるでしょ。
「・・・Aが・・・帰っちゃったから・・・。」
え？
彼女の名前？
でもそこでそんなことは聞かない。
本題の方が大事。
「帰っちゃった？」
「だから、追っかけた。」
「え・・・だって智くんのアトリエ行ったんでしょ？
彼女、智くんのアトリエに住んでんの？」
「あそこが家だから。」
無口な智くんには同じことを何度も聞かない方がいい。
それでなくても仕事でおんなじ質問をされることが多くて、仕事だからと割り切って受けることがほとんど。
とりあえず今は核心だけ聞くだけ聞いて、後でつなぎ合わそう。
「黙って帰っちゃったの？」
「・・・おいらが・・・悪いんだ。
A・・・忘れて・・・絵・・・描いて・・・。」
俯いてる智くんの声は、もうつぶやきに近くて聞き取れない。
「謝ったんだろう？
許してくれなかったの？」
「忘れてたって言ったら・・・ショック受けてた・・・みたい。」
・・・そうだね。でも智くんもずいぶん落ち込んでるね。
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作者名：Fg | 作成日時：2014年7月10日 10時
