56 Oside ページ6
「言い訳になるから何も言わない。
でもおれを信じてほしい。」
まっすぐ見つめられたから、まっすぐ見つめ返す。
選んだ言葉はシンプル。
ここで本気だって見せないとね。
「・・・わかりました。
大野くんを信じます。」
フッとやわらかい表情になって、恥ずかしそうに笑った。
おいらもホッとしたよ・・・。
「・・・私、頑固だよ・・・。」
「うん、まだ好きだって言われてないし。」
「料理は嫌いだし、好き嫌いも沢山あるし、嫌いな物はつくらないし・・・。」
「うん、おいら食にこだわりないし。」
「コンプレックスの塊だし。」
「特にぽっちゃりしたとこでしょ。
・・・大丈夫。
この前抱きしめたらやわらかくてさ、好きだよ。」
はにかんでうつむいたあと
「・・・好き・・・です、大野くん。」
そう言ってくれて、おいらの心臓は自分でも聞こえるくらい大きく高鳴った。
ああ、今までの恋なんかと比べられないくらい、おいら幸せだ。
「好きだよ、A。」
おいらは膝がぶつかるくらい彼女に近づいて、キスをした。
Aがおいらの彼女になった時にはもういい時間になっていて、おいらが頼んだ通りうちに泊まることになった。
「おいら、朝早起きしてセリフ覚えるから、ベット使って。」
毎朝、そうしてるからとAに告げる。
「大野くんこそベットで寝なくちゃ疲れがとれないんじゃないの？」
ねえ、おいら遥の彼氏なんだからさ、名前で呼んでよ。
「・・・大野くん？」
「智だから。」
おいらの言いたいことがわかってはにかんでるけど、早く寝室に行かないとおいら我慢できないよ。
「・・・おやすみなさい・・・さ・・・としくん。」
顔を赤らめて、寝室に飛び込むように入っちゃったA。
彼女としてのおやすみのひとことも心地いい。
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作者名：Fg | 作成日時：2014年7月10日 10時
