きみを好きになって～S・O～２ (ページ32)

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「じゃあね、お疲れ。」

送ってくれたマネージャーに挨拶して、辺りを見渡してからマンションに入る。

今日は荷物があるからゆっくり歩いて、階段も一段一段上った。

Aんちの前で一旦深呼吸する。

だってAに会うのもここに来るのもあの日以来なんだもん。

あの時のことを思い出すと自分への後悔も同時に思い出してしまう。

Aの反応も気になるよなぁ・・・。

インターホンを押してドアが開くまでの間で、持ってきた荷物を自分の顔の前に抱えた。

Aがドアを開けた瞬間、これが見えるように・・・。

「はい、さと・・・！」

久しぶりに聞くAの声が途切れた。

驚いたみたいでその後が続かないみたい。

「プレゼント。」

そう言って荷物を下に降ろしてAを見つめた。

あれ・・・？

「・・・ありがと・・・入って。」

リビングまで入って、じっとその四角い物を見てるAに

「開けてみて。」

って渡すと無言のまま開け始めた。

「！・・・これ・・・あの時の。」

おいらが家から持ってきたのは、あの時描いてた絵。

「Aだよ。」

「えっ・・・私？
・・・美化しすぎでしょ。」

「んなことない。
Aを描こうと思って描いたんだから・・・。
もらってくれる？」

「・・・智くん・・・、ありがとう。」

Aの目がみるみるうちに潤んで、涙がこぼれる。

その涙を拭ってあげたくて、思わず彼女の頬に手を伸ばした。

「ごめん。
ちゃんと顔見て謝りたかった。
Aの絵描いてんのにAを忘れるなんてさ、最低なヤツだけど。
許してくれる？」

「・・・私の方・・・こそ・・・智くんに悪いこと・・・したなって・・・。
もう・・・こんな面倒くさい女・・・愛想つかされるかもって・・・怖くて・・・。」

「何で？
悪いのはおいらだろ？」

少し痩せたAを抱きしめた。