哀しいくらいきみが好きだから(S.O) (ページ48)

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「風呂、入ったの？」

私の頬で暖を取りながら聞く大野くん。

せっかく目の前に温かいココアがあるんだから、そっちを触ればいいのに。

言葉より先にうなずく。

いつまでも離してくれないから

「ココア・・・冷めちゃうから・・・飲んで・・・。」

言ってるそばから顔が熱くなる。

ココアは冷めていくけど、きっと私の頬は熱いままだ。

「ん・・・。」

それでも大野くんは手を離さないで、空いてる方の手でカップを取ってそのまま飲んだ。

「あま・・・。
でも美味い。」

その姿はいつかのCMを見てるようだった。

「泊まってっていい？」

この前もそう言ってたじゃない？
最初からそうするつもりで
今夜もそのつもりなんでしょ？
でも・・・遊びなら泊まったりして・・・いいの？

「・・・明日は・・・時間・・・」

「ふふ・・・」

急に笑った大野くん。

「・・・なんかさぁ・・・緊張してんの？」

「え？」

「言葉が途切れ途切れなんだもん。」

「だってそれは・・・大野くんが変な事言うから！」

「おいら？
何か言ったっけ？」

きょとんとした目が何となく可愛い・・・
っていうか、覚えてないの？

あんなにドキドキしてたのがバカらしく思えてきた。

「いえ・・・何でもないです。」

それなら、と普通に喋ると

「何で敬語なの？」

もう、訳が分からない。

今だ掴んだままの私の手をグッと引き寄せて

「敬語使ったから・・・って抱かないよ。
そんなの理由にしない。」

イケメンボイスで耳元で囁く。

な、なんだ・・・覚えてるじゃない

「欲しいからだよ。」

もうね・・・いちいちイケメンなこと言うから困るよ。

「・・・ねぇ、付き合ってるヤツいないの？」

「！」

大野くんの胸をちからいっぱい押して彼から離れる。

「ウッ！」

急に押されて大野くんが変な声を出した。

何言ってるの・・・このひと・・・

「何でそんなこと・・・聞くんですか？」

「や・・・一応・・・聞いとこうと思って・・・。」

「・・・彼がいるのに・・・よく知らない男のひとに抱かれたりする・・・浮気するような女とか思ってるんですか？」

言いながら頭に血が上って行くのがわかる。

さっきまでと違った意味でバクバクいってる心臓。

やっぱり遊びだったんだ・・・そう思って大野くんを睨みつけた。