哀しいくらいきみが好きだから(S.O) (ページ46)

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別れた彼女んちにスケッチブックを置きっぱだってことに後から気付いた。

LINEもブロックしちゃったし、こっちから連絡すんのもなぁ。

でも出来れは手元に取り戻しておきたい。

殴り書き程度のものしか描いてなかったはずだけど、彼女じゃなくなった子の家にあるって何かヤじゃん！

その日は早く帰れたから、マネージャーに送ってもらったあとタクシーに乗り換えた。

今まであの子んちに行くのに、マネージャーに送ってもらったことねぇし。

今思うと、最初から違和感があったのかも。

もしかしたら帰って来るとこ捕まえられっかもっていう気持ちで、マンションの入口が見えるとこで待ってた。

こんなとこに座り込んで、誰かに見られたら・・・って考えないわけじゃなかったけど、どうしてもスケッチブックが気になったから。

つい最近も同じようなことしたなぁってAちゃんのこと思い出す。

いきなり呼び捨てにしちゃって驚いてた、その顔を思い浮かべるだけでも心ん中があったかくなる。

あん時は今日より薄着だったけど、ずっと待ってられた。

遅くなったら泊めてくれるかなって何となく思って、マネージャーに迎えの場所を連絡しといた。

最初から抱くつもりなんかなくて・・・まぁ成り行きってやつだけど、好きって思っちゃったんだもん、仕方ない。

それにまだお互いの事何も知らねぇし。

順番が逆になっちまったのはいつものことだけど、そこから先に進んだのは数えるほど。

好きだって思って抱いたのは・・・はっきり言って彼女が初めてかも。

だから大事にしなきゃ。

この前と違って、寒くなって来た。

帰って来ねぇみたいだし・・・あのスケッチブックは諦めっか・・・。

そう思った時、マンションの前にタクシーが停まった。

思わず立ち上がったら、中から降りて来たのは男。

なぁんだ・・・って思ったら

「大丈夫かよ。
ちゃんと歩ける？」

そんな言葉と共に降りて来た女。

「大丈夫って言ってるでしょ？」

その声で彼女だってわかったけど、出て行くのはやめた。

修羅場はごめんだ・・・。

そのまま男に支えられたまま、２人はマンションの中に入ってった。

もう男がいるみてぇ、これなら文句はないはず。

寒さが襲ってきて、タクシーを拾おうと歩き出しながらAに会いてぇって思ってた。