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「ちょっと！
そんなに一気に飲まなくたって！」
ろくに食べもしないで飲み続けてるからグラスを取り上げようとしたけど、美歩は私の手をすり抜けた。
「だって・・・一方的に言って帰っちゃうなんて・・・。
LINEもブロックされちゃって・・・。」
「それって遊ばれてたんじゃないの？」
こっちもさっきから飲み続けてる渉くん。
まぁ渉くんは強いからあんまり心配はしてないけど。
「そんなことない！
会えないことも多いけど、２年ぐらいになるのよ？」
渉くんを睨みつける美歩。
それでなくてもモテる美歩だけど、２年は長いかな。
私の知ってる限り最長かも。
それだけ本気で好きだったってことでしょ？
「へぇ・・・。
じゃぁ、どうすんの？」
ちょっと渉くん、煽ってるみたいだよ。
目で合図してみても渉くんは気が付かないみたい。
「別れないわ・・・。
あんな一方的なの、認めない・・・。」
弱気になりかけてた美歩の目にちからが戻って来た。
渉くん、もしかしてわざと？
帰る頃には美歩もふらついてて、渉くんが支えて店を出た。
「しょうがねぇなぁ・・・。
おれ、送ってくわ。」
「大丈夫よ、酔ってないから・・・。」
そう言いながら渉くんにしなだれかかってる。
私は美歩の荷物を持って、反対側から支えていく。
「Aは１人で大丈夫？」
タクシーがつかまる大通りまで歩きながら渉くんが聞いてきた。
「私は飲んでないから大丈夫。」
「こんなことになっちゃって、ごめんな。」
「気にしないで。
美歩も私たちぐらいしか弱音を吐けないんじゃないかな。」
こんなに酔った姿を見せるなんて、よっぽどショックを引きずってるのかも。
タクシーはすぐつかまった。
「神田、乗って。」
渉くんが美歩を後部座席に乗せてから隣に自分も乗り込んだ。
美歩の荷物を渉くんに預けながら
「よろしくね。」
って一応ね。
走り出したタクシーを見送りながら、自分も一緒に行けばよかったかなっていう思いが浮かんできていた。
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作者名：Fg | 作成日時：2016年8月1日 18時
