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もしかしたらタクシーは来ないかもしれない。
そんな思いが無いわけじゃなかった。
やっぱり面倒じゃない？
連絡先を教えてくれなかったのもそういうことなのかも。
教えてくれた名前も偽名かもしれないし。
そんな思いを抱えて、さっきの新入社員くんの手を借りながらビルの外に出た。
足はまだ痛かったけど何故か湿布を持ってた人がいて、もらって貼ったら少し楽になった気になった。
「あ・・・。」
タクシーがハザードランプを点滅させて停まってて、胸の中で思ってたことを申し訳なく感じる。
「あれですかぁ。」
タクシーに近付くと後ろのドアが開いたから、新入社員くんにお礼を言って、乗り込んだ。
「お待たせしました・・・。」
「どこまで行かれます？」
運転手さんはあくまで事務的。
「あの・・・病院に行ってもらって・・・いいですか？」
「わかりました。」
病院に行くって帰って来たし、診断書をもらっておいた方がいいかも。
今まで外科にかかったことがなくて病院の場所なんて知らなかったけど、時々通る大通りに駐車場付きの整形外科があるのを思い出した。
その病院に行ってみることにした。
遅いお昼を簡単に済ませて、湿布をしてサポーターをつけた足を休ませる為にベットに横になった。
捻挫なんて初めてだ・・・。
冷やして動かさない、なんて出来るの？
会社、どうする？
たかが捻挫、されど捻挫。
ひとり暮らしじゃ不便極まりない。
そんなことを考えてるとスマホが着信を知らせた。
知らない番号に出るのを躊躇う。
でもきょうは名刺を渡してることを思い出して、出ることにした。
「・・・はい。」
「柚木さんでしょうか？」
男性の声にちょっと警戒。
「今日、ケガをさせてしまった大野の代理の者です。」
「え・・・。」
代理？
え、何？
どういうこと？
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作者名：Fg | 作成日時：2016年8月1日 18時
