哀しいくらいきみが好きだから(S.O) (ページ40)

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１人になると夕べのことがリフレインしてばかり。

あぁ・・・どうしよう・・・
夢・・・じゃないよね、やっぱり

大野くんがいた時は浮かれていたみたいで頭が働いてくれなかった。

夕べシャワーを浴びた時に気付いた胸についた赤い印のことだって、恥ずかしいって感じたけど大野くんに何も言えなかったし。

落ち着いてくると、現実に戻ったみたいで色んな感情が湧いてくる。

何で抱いたの？
やっぱり遊び？
それとも・・・口封じ的な？

好きになった、なんて言ってたけど、そんなの遊びの時にだって言ったりするじゃない。

大野くん、モテるんだから・・・。

じゃなかったら、ぶつかってケガをした私がそのことをどこかに、例えば週刊誌に売ったり？しない為の？

そんなに軽い女に見られてた？

考えれば考えるほど思いはぐちゃぐちゃで、大野くんへの想いまでしぼんでしまいそう。

まさか・・・本気、なんてことは・・・
ないわよねぇ・・・
うん、ないない
そんな夢みたいなこと、あるわけない

頭の隅に浮かんだ思いは、すぐ打ち消した。

ふと時計を見ると出かける時間が迫ってて、慌てて支度を始めた。

残業が数日続いた後、やっとまともな時間に帰れるようになった。

今度の休みはうだうだ過ごしてやる・・・そんなことを楽しみにしていた。

大野くんからは思い出したようにLINEがくる。

いや、思い出したようにっていうのは語弊があるかも。

忙しいんだからだろうとは思うけど、その内容も呟き程度のものだったりするから、ひねくれてしまってる私は素直に嬉しいとは思えなくて・・・。

それでいて”会いたいな”なんてこっちがドキッとするようなことを送って来る時もあって、どういうつもりなのかがLINEからは解らないから、心の中は穏やかではいられなかった。

せっかく来たLINEを無視なんか出来なくって

『仕事、忙しそうですね』

って当たり障りのないことを返すしかない。

『LINEでも敬語？』

そんなこと送って来ると、「敬語使ったら、もう一回抱くよ？」っていうあの時の言葉を思い出して恥ずかしくなる。

結局のところ、私は大野くんが好きなんだ・・・。