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「大野くん？」
さっきからウンともスンとも言わない大野くんの傍に戻って、顔を覗き込んだ。
「っ・・・。
腹ん中は・・・温まったけど・・・足とかは・・・。」
全身を温めるにはお風呂が一番だけど、その後帰るんじゃまた冷えちゃう。
「もう遅い時間ですけど・・・帰らなくていいんですか？」
大野くんといられるのは嬉しいけど、これからお風呂に入りたいし早く寝ないと明日の仕事に影響が出そう。
明日も残業なんだから。
大野くんだって仕事でしょ？
「・・・もっと・・・一緒にいたいって・・・迷惑？」
「え・・・。」
今、何て？
「何かわかんないんだけど・・・好きに・・・なったみたい。」
そう言って、チュッと軽く大野くんの唇が私の唇に触れた。
「！」
柔らかなその感触にビックリして、固まっている私に
「ヤなら逃げて。」
低めの声でささやくと私の肩を押さえて、今度はゆっくり唇を重ねて来た。
ど、どうして・・・？
す、好きにな・・・ったって・・・そんな・・・冗談・・・
彼の香りが全身に回ってクラクラする。
「あっためてよ。」
逃げなかったことをOKと取ったみたいで、また耳元でささやいた。
そ、そんな・・・
「・・・大・・・野くん。」
心臓が爆発しそうなくらい激しく動いてて、頭が真っ白。
「名前で呼んで。
おいらも呼ぶから。
・・・Aちゃん？A？
どっちにしよっかなぁ・・・。」
うわぁ・・・
大野くんに名前を呼ばれて全身鳥肌が立つ。
夢？見てるみたい。
「呼んで、智って。」
「・・・さと・・・し、くん・・・。」
「おいらのもんになって。」
大野くんが私に体重をかけて来る。
いくら小柄な大野くんでも筋肉がついた身体は重くて、あっという間に下から彼を見上げてる自分。
次から次へと襲って来る、大野くんの言葉と声の威力。
女の子はこれに堕ちるのかもしれない。
こんなことって・・・
モテる大野くんだから、彼女だっているでしょうに
私は・・・遊び相手？
「Aはおいらのこと嫌い？」
「嫌いなんか・・・じゃ・・・ないで・・・す。」
ずるい作戦だなぁ・・・
そう思ってても答えは決まってる。
「泊まってっていい？」
「い・・・」
聞いておきながら、大野くんは答えさせてくれなかった。
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作者名：Fg | 作成日時：2016年8月1日 18時
