哀しいくらいきみが好きだから(S.O) (ページ33)

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「LINEしたんだけど・・・。」

暖房を入れたばかりの部屋じゃダウンも脱げないみたい。

余計な脂肪なんか無さそうな大野くんが震えてる。

「え？あ・・・。」

残業中から今まで、スマホを見ていないのに気付いてバックの中を漁った。

「・・・ごめんなさい。
残業だったから、スマホを見る時間がなくて・・・。」

大野くんとのLINE画面を確かめながら謝ると

「そっか・・・。」

ちいさな溜息をついた。

それでも震えてる大野くんをソファーに座ってもらう。

「無謀ですよ、いくらダウン着てたって中が薄着すぎる。」

部屋に入ってファスナーを外したダウンの中は、シャツだけ。

シャツの中に着込んでるのなら別だけど、いくら何でもね・・・。

「・・・いつも・・・車で移動で・・・外なんかにいないから。」

「今、温かいものを。」

取りあえずお湯を沸かして、それからお風呂にお湯を溜めに行く。

コーヒーはインスタントしかないけど、文句はないわよね。

自分は今コーヒーを控えてるからココアにして、２人分のカップと買って来たサンドイッチを持って大野くんの前に座った。

「お腹、空いてませんか？
私、残業で食べそこなったんでこれからなんです。
良かったら一緒にどうですか？」

「こんなに・・・食うつもりだったの？」

テーブルに出されたサンドイッチをまじまじと見てる。

「まさか・・・。
こんな遅くに全部は食べません。
余ったら朝にでもって買っただけです。
・・・食べないと夜中にお腹空いて・・・寝られないと困るから。」

少しでも食べないと薬を飲めないから、軽いパン系にしたの。

「食べたら暖まりますよ。」

「・・・ありがと。」

そう言ってカップを手のひらで包み、暖を取った。

食べ終わる頃には部屋も暖まってきたし、大野くんの顔も赤みが差して来た。

ダウンも途中で脱いだし、もう大丈夫かな・・・。

「・・・ちょっとごめんなさい。」

確認のために断って大野くんの手の甲を触ってみたら、ビクッと跳ね上がった。

手のひらは温かくなっただろうけど、触った手の甲はまだ冷たい。

「まだ寒いですか？」

聞いてから食べ終わったものを片付けて、流しに運ぶついでにそっと薬を持って行って飲んだ。