25 Oside ページ25
彼女と別れて、少し心が軽くなった。
早く何とかしなきゃって思ってたからさ。
って言っても全然心が痛まなかったっていうわけじゃない。
おいらだってあんな別れ方したくはなかったよ。
「どうしたんですか？
最近車で寝てないみたいだけど。」
迎えの車ん中でボーッとしてたら、マネージャーが聞いて来た。
「え・・・そう？」
ごまかしてみるけど、気付かれなかったかなぁ。
「そういえば、あの柚木さんの送り迎えのタクシーの明細が届きました。
２日後に大学病院に行ってますね。
知ってますか？」
病院？
ってことは・・・謝りに行った次の日？
「知らねえ。」
「何度か迎えのタクシーに一緒に乗ってましたよね？
何か聞いてます？
違う病院にかかったのなら、領収書もらわないと。」
「・・・じゃぁ、おれが聞く。
遠慮してんのかも。」
「え？大野さんが？」
後ろを振り向きそうな驚き方。
そんなに驚くこと？
「気に入ったんですか？」
「へ？」
「柚木さん。
面倒くさがりの大野さんがそんなこと言うなんて・・・。」
・・・まぁ、面倒くさがりっていうのは否定しないけど
気に入った？のかなぁ・・・
「誠意を持てって言われたじゃん。」
「それだけですか？」
「うるせぇ・・・。」
話を終わらせたくて、スモークが貼ってある窓から街中をみる。
ビルにかかってる何かの看板には女の子の笑顔。
あ・・・可愛いじゃん、誰だろ？
「ね、あの看板の子って誰？」
運転中のマネージャーに指差して聞いてみる。
おいらが指した方をチラッと見たマネージャー
「ああ・・・若手の女優さんでCMによく出てますよ。
知らないんですか？」
「あんま、テレビ見ねぇもん。」
「確か・・・今度共演するはずですよ。」
「え、そうなの？」
おいらたちの番組に来んのかな。
「駄目ですよ、素振り見せたりしたら。」
「見せねぇけど・・・向こうから来んだもん、仕方ねぇじゃん。」
「彼女は売り出し中ですからね、ガードは固いんじゃないですか？」
「誰って聞いただけ。
いいじゃん、それくらい。」
ふん！
そっぽを向いてシートに沈んだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 217人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Fg | 作成日時：2016年8月1日 18時
