哀しいくらいきみが好きだから(S.O) (ページ22)

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22 Oside ページ22

友達に呼び出されて飲んだ後、二次会だと言われて移動することになった。

タクシーに乗せられて、フッと思い出したのは柚木さん。

最近タクシー乗る時は柚木さんと一緒だったから、そりゃぁ思い出すわ。

おいらはあんまり女の子との電話って得意じゃねぇんだけど、夕べの柚木さんとの電話は楽しかった。

話が続かなくて沈黙になることもなかったし、無理に話題を探す必要もなかった。

何より長電話にしようとして、ダラダラ面白くねぇ話をする女の子とは違って、話を切り上げようとしたらすんなり

「じゃぁ、おやすみなさい。」

って切ってくれたし。

ニノのせいで手首を痛めたことを知られたのは、想定外だったけど。

そんなことを思い出してたら、スマホが震えた。

画面には

『これから会えない？』

って最近会ってない彼女からのメッセージ。

もうそろそろ潮時かなって思い始めて、おいらからの連絡はしてなかった。

「チッ・・・。」

そのまま無視して外を見てたら、信号んとこに今まで考えてた柚木さんがいた。

あ・・・
こんなとこに・・・

そう思った次の瞬間、隣に男がいるのに気付いた。

柚木さんに何か話しかけてるけど、何か浮かない顔の彼女。

それでも返事をした彼女に、顔を近づけて聞き取ろうとしてる男。

何だ・・・男がいるんだ。

急に胸ン中がざわついた。

タクシーが停まって一緒に乗ってたみんなが降りても、おいらは降りるのをやめた。

「わりぃ、おれやめるわ。
行くとこあんの、思い出した。」

外に出た友達に断ると

「え・・・あ、そう。
じゃぁまた今度。」

おいらの忙しさを理解してくれてる友達たちは、すんなり手をあげた。

ドアが閉まると運ちゃんに行き先を言う。

シートに身体を預けて目を閉じると、さっきの男女が浮かんでくる。

夕べあんなに楽しく電話してた子が、いやそれよりも捻挫が治ったばかりなのに翌日の夜には男と歩いてる。

そんな子じゃないと思ってたのは、勝手な思い込み？

イライラが止まらなくて、指がずっと肘辺りを叩いていた。

マンションの少し手前でタクシーを降りて、周りを確かめてから歩き出す。

インターホンを連打してドアが開くのと同時にエレベーターまで行った。

そして目的のドアを勝手に開けて

「来るんなら返事ぐらい・・・。」

って出て来た彼女を押し戻して、勝手知ったる寝室に連れ込んだ。

「ちょっ・・・！」

そんな声は無視した。