17 ページ17
「あ、バカ！
何すんだよぉ！」
スマホを取られたっぽい大野くんの焦ってる声が遠くに聞こえた。
「聞いてる？
あなた、捻挫したって人でしょ？」
この声は・・・。
「二・・・宮くん。」
「ふーん、わかるんだ。
ねぇ、大野さんあなたのせいで手首痛めたの、知ってんの？」
「え・・・。」
初めて聞く話に絶句した。
あのニノと電話で話してる、なんてときめきを感じるヒマもない。
「ニノ！」
後ろで大野くんが怒鳴ってるけど、二宮くんはお構いなし。
「痛い思いが続いたのはあなただけじゃないってこと。
自分だけが被害者だなんて思わないでくれます？」
ガサガサと大きな音がして
「ごめん、気にしないで。
呼ばれたから、切るね。」
焦ったような大野くんの声がして、そのまま電話は切れた。
誰かが話しながら近くを通って行く。
ヘンに思われないように、スマホをいじってる振りをした。
画面を見ながらも二宮くんの言葉が、頭の中をグルグル回ってる。
あの時ぶつかった大野くんが立つ気配を感じたけど、自分のことだけで精一杯だったから、大野くんがどんな状況だったのかはわからない。
きっと彼も転んで、その時手首を痛めた？
それなのに手をさしのべてくれたの？
いつも近くにいる二宮くんが言うんだから、きっと本当なんだよね。
大野くんも焦ってたみたいだし・・・。
それなのに自分のことは何も言わないで、捻挫した私のことを優先してくれたの？
でも・・・何で・・・そんなこと・・・。
スマホを持ってる手が震えながらLINEを開く。
もう送ることもないと思ってた大野くんにメッセージを送った。
『手首を痛めたって本当ですか？
何故言ってくれなかったんですか？』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 217人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Fg | 作成日時：2016年8月1日 18時
