哀しいくらいきみが好きだから(S.O) (ページ15)

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「もしもし、A?
元気だった？」

突然かかってきた電話の声は、一瞬にしてその声の主を思い出させる。

神田美歩、高校の同級生だ。

「・・・あ・・・美歩？
ええ、元気は元気よ。
久しぶりね。」

いつぶりだろうって考えてしまうほど、時間が経っているはず。

「聞いたわよ？
水原君と付き合ってるんですって？」

え？
何で美歩が知ってるの？
どこからそんな話って・・・私は誰にも言ってない
ってことは・・・

「・・・やだなぁ・・・。
まだそんなんじゃ・・・。」

「その話、聞かせてよ、ね？」

高校時代からそう。

人の話を最後まで聞かない。

それでも学校内でも目を引く美人の美歩の周りには、いつも友達が集まってた。

そんな彼女が何故かいつも私に話しかけてきた。

いつの間にか私もその輪の中にいて、美歩の友達って思われていたみたい。

彼女が私を本当に友達だと思ってくれてたのかは解らないけど、私が他の友達と一緒にいるとその中に入ってきて、いつも輪の中心にいたような気がする。

「だから違うって。」

「いいからいいから・・・。
明日にでもどう？」

まだ完全に治ったと言えない足じゃ、無理。

それに何故か今、美歩に会いたくなかった。

「今、足を捻挫してて・・・ちょっと無理。
治ったら・・・。」

「私も忙しいのよ。
Aにはわからないかもしれないけど。」

そういう美歩は高校卒業間近にスカウトされて、モデルになって雑誌に出るようになり、テレビにも出るようになってた。

いわゆる芸能人になったんだけど、時々は連絡をくれて会ったりしてたっけ。

「仕事も休んでるような状態だから、無理よ。」

「いいわねぇ・・・捻挫ぐらいで仕事休めて・・・。」

「！」

どうしたの？
そんなこと言うような子じゃなかったんだけど・・・

「何かあったの？」

「・・・幸せそうなAが羨ましいだけ・・・。
全然会えなくって・・・連絡しても・・・無理って・・・。」

美歩の声がいきなり不安げに変わった。

しばらく会ってない私なんかに不安を打ち明けるなんてよっぽどかも。

「美歩・・・。」

「・・・ごめん。
じゃぁ・・・また今度、絶対聞かせてよ。」

またすぐもとに戻った美歩は、一方的に電話を切ってしまった。

だから違うんだって・・・。