哀しいくらいきみが好きだから(S.O) (ページ12)

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12 Oside ページ12

東京に雪が降るとさ、大変なんだよ。

積もると朝には凍るし交通機関に影響が出る。

電車やバスは遅れるし、道路は混む。

電車で通ってたことだってあるし、送り迎えされるようになってからも、大雪の時はマネージャーが迎えに来れなくってタクシーを使ったことあるから、会社勤めの人と同じように大変さはわかるよ。

歩いてて転びそうになったこともあるけど、人にぶつかってケガさせたことは初めてで。

それも女の子で、歩くの辛そうだったけど、捻挫みたいだったからまだよかった。

Gパンとかはいてたから学生かなって思ったけど、働いてるらしくって会社まで送ってあげた。

その後も契約してるタクシーを使ってもらうようにした。

ちょっと面倒だったけど、しかたねぇよな。

だって女の子には優しくしないとね。

入りの時間には遅れたけどタクシーからマネージャーには連絡しといたから、そのことについては何も言われなかったけど・・・。

やっぱケガさせたってことは怒られた。

「相手の連絡先とか聞いたんでしょうね？」

「名刺もらった・・・。」

ポケットからもらった名刺を出して渡すと、それを見ながら

「名乗ったんですか？」

「ん、名乗れって言われたから・・・大野って。」

「わかりました。
こっちから連絡とってみます。」

マネージャーからもう一度謝れって言われて電話番号を教えてもらったけど、どうなったのか気になったから次の日の朝行ってみることにした。

場所を知ってる昨日の運ちゃんをリクエストして、このまましばらくこの件が片付くまでその子の送り迎えを頼んだ。

ドアを開けて中に入れてもらおうとしたら、ドアノブで身体を支えてたみてぇでおいらの胸に飛び込んできてさ、顔を赤くしてたのが初々しい。

で、その子んちに行ってマスクとキャップをその子の前で外したんだけど・・・さ、おいらの顔見てもそんなに驚きもしねぇ。

そりゃぁ固まってたみてぇだから気付いたんだろうけど、黄色い声を出すわけでもパニクるわけでもない・・・そう・・・普通だった。

興味ねぇのかな・・・。

驚かれるだろうなって思ってたから、拍子抜け。

そんなこと思ってた自分が恥ずかしくって、しどろもどろになっちゃった・・・。