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朝になると随分楽になったように感じた。
これなら１人で歩ける。
渉くんには会社に行くって言ったけど、元から今日は休みを取ってあった。
ちょうどいいって言ったらなんだけど、今日外に出てみて大丈夫なら明日は出勤できる。
出かける為に支度をしていたら、携帯の着信が鳴った。
朝の電話なんていいことだったためしがない。
おそるおそる手にとったら、また登録されてない番号。
出るべきか迷ったけど、昨日のこともあるから出てみることにした。
「柚木さんでしょうか？」
また知らない男性の声。
「・・・はい。」
「○○タクシーです。
今、下まで来てるんですが今日お出かけはされますか？」
「あ・・・。」
本当に来てくれてるんだ・・・
大野くんの言葉を信じてなかったわけじゃないけど、そこまでやってくれるとは正直思ってなかった
「行きます。
あと数分待っててください。」
気持ちは早く焦って、それでもゆっくり歩いて外に出た。
タクシーを認めたら向こうも気付いてくれたらしく、スッと後ろのドアが開く。
動作が遅くなってしまうのは仕方ない。
「遅くなってすみません。」
乗りながら謝ると
「気にしないでください。」
優しい声をかけてくれたのは、この間と同じ運転手さんだった。
だいたいいつも同じタクシーの運転手さんって言ってたっけ。
「治るまで、私が担当しますから。
今日は会社ですか？」
おとといとは違って事務的じゃなく、少し柔らかい口調。
それだけでホッとした。
「あ・・・いぇ・・・。
病院に行って頂きたいんですけど・・・。」
「この前の？」
「いぇ、違います。
あ・・・住所・・・。」
行き慣れてるのに、大まかな地名しか覚えてない。
慌ててバックの中を漁って、財布を取り出した。
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作者名：Fg | 作成日時：2016年8月1日 18時
