第36話 ページ36
あれから翌日、無事にイベントが終わり
ご機嫌で帰っていた途中なんだが
…見たくなかった、かな
「鉄朗〜疲れたからおんぶして〜」
黒「しょうがねぇなあ、ほらよ」
「あっはは、好き〜」
貴「…なんだ、彼女いんじゃん」
そう思うとなんだかずっと心に残っていた謎の
気持ちがストンと消えていったのが分かった
あぁ、こんな簡単に消える感情だったのか
けれど目頭が熱くなりそうだ
意味分からねぇよ
友人リストからとある人を選び、トークに入る
『あの人って彼女居たんですね』
たった一言送るとタイミングよく小雨が降り出した
傘も持っていない。
…まだアイツの家には戻りたくない
いや邪魔なんじゃねぇかって思って
嫌な感情が昂ぶり、ついには頰を雨以外の何かが流れた。セットした髪もぐしゃぐしゃになりながら
雨の中をヨタヨタと廃人のように歩いていく
ふとバイブレーションに気づき、スマホを確認すると…夜久さんからだった
電話に出ると「どういう事だ?」と第一声が聞こえた。それを言いたいのはこちらだと言うのに
貴「さっき女の人と一緒に歩いていくの見ましたよ
それは仲良さそうに」
ひねくれたような言い回しでそう言った
夕焼けが都会のビルの奥に消えていき薄暗くなる秋葉原をネオンの光が照らし出した
雨粒がキラキラと光に照らされて輝き出す
夜『…何してんだアイツ…俺、今 秋葉原いるんだが俺ん家来るならそっち行くぞ?』
貴「お願いしても良いでしょうか」
夜『荷物は全部持ってるか?』
貴「いつも持ち歩くようにしてあるので大丈夫です」
場所を伝えると電話越しからずっと自分に向かってずっと話しかけてきた
飽き飽きしながらも話していると
駅についた
そこで待っていると傘を持った夜久さんが
少し足早にこちらにきて優しく微笑んだ
電話は繋がったままだ
夜「『ほら、泣くなよ。』」
言われて始めて自身の変化に気づくことができた
あ、俺
貴「泣いてんだ」
夜久さんは電話を切り、「汗臭いけど我慢しろ」と言ってタオルを俺の頭に乗せて優しく撫でた
そして手を引かれて同じ傘の中に入った
夜「ほら、風邪引くぞ!」
貴「…ありがとう、ございます」
ほぼ同じぐらいの背の夜久さんの肩は何故か自分よりも強そうに見えた
バレー部ってこんな感じなのかな
黒「…A?」
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