第15話 ページ15
「これなら少しは楽じゃないですか?」
貴「え、あ…うん…楽、ではあるけど…」
これは世に言う「膝枕」ってやつなのでは?
そう考えるとのぼせて赤くなった頰は尚更熱をもつ
こんなこと、された事ない…!
貴「他から見たら…み、見苦しいかなーって思うよ」
そう呟くとソイツは首を傾げた
「何でですか?」
貴「何で、って…男同士でこんな事やらないだろ」
「え?先輩、男なんですか?」
え
貴「いや、女だけど…」
「ですよね。…驚くので冗談やめてください」
常に男だと勘違いされる人生、
もう自分ですらそれで良いと思い女らしさを捨てた
…だから、大して接触もせず会話もしない相手に
女だって知られるのは初めてだった
赤みを帯びた頰を隠すように腕で顔を隠した
貴「…戻らなくていいの?」
いつものような強気な発言すらできないまま
そう聞いてみた
「戻ってもチビと王様がうるさいだけなんで」
貴「チ…?」
誰のことだか全く分からねぇわ
…いや、もしかして…
ふと少し腫れが引いた腕を思い出した
…チビってあの橙頭のことかな。
俺が思い出せるレベルって凄いなアイツ
「…先輩のこと、なんて呼べば良いんですか?」
貴「あ、俺?…まぁ好きに呼べば良いよ。
君らと会うのもこれで終わりかもしれないし…」
早く帰りたい
営業スマイルでそういうとソイツは少し悲しそうな顔をしたような気がした。
「…じゃあ、好きに呼びますね」
貴「ん、いいよ」
…まてよ?
貴「あの…ちょっとだけ質問良いかな…?」
「何ですか?」
貴「…俺の年下…で間違ってないよね?」
年上だったらタメ口言ってる状況だった
それは…それはやばい(確信)
こういうのゲームではもうターゲット対象だから…
まぁ俺のこと「先輩」って呼ぶぐらいだし大丈夫だよな…?
「そうじゃない、なんて言ったらどうします?」
貴「!?」
驚いた反動で勢いよく起き上がろうとすると
鋭い痛みが頭を走った。
思わずソイツの太ももに頭をおろしてしまった
「嘘ですよ、年下で合ってます。」
クスクスと意地悪にソイツは笑った
本ッッ当そういうのやめろ
こちとら頭痛えんだよ…
本音が出そうになるのをグッと堪え「そうなんだ」と応えた
「部屋まで送りますよ」
その言葉にお礼を言い、やっとのこと部屋に戻るとソイツは「僕もそろそろ戻ります」と言い、立ち去っていった。
やけにその金髪の笑顔が脳裏に浮かんでいた
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