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「確かに…そんな事があったんなら、伊達班長が親父さんの事を腰抜けだと思っちまうのも無理ねぇな…」
「ああ…現職の警察官が犯罪者に土下座だからねぇ…」
バイク店を出た後。萩原が思い出したという伊達の父親の話を聞いた松田達は、帰路につきながらその話を思い返していた。
「まぁ、班長の気持ちも分からなくねぇよ…俺も親父が殺人容疑で誤認逮捕された時、人殺しの息子だと言われまくって親父の事を嫌いになりかけてたから…
マ、俺の場合は、ジムの人達に『親父を信じて待て』って言われて、気持ちを折らずにいけたんだがな…」
「へぇー…」
「(…人殺し、ね)」
「だから諸伏よォ…昔、何があったか知らねぇけど…話してくれたら俺らのしょーもない助言が、何かの助けになるかもしれねぇぜ?」
そう諸伏に話しかけた松田。目線の先にいる諸伏が、何やら驚いた顔をして上を見上げては何かを呟いている。
「た…
た す け て…」
「今かよ!?」
「ちっ、違うよ! ホラ! 奥の通りのコンビニの、看板の明かり…
まるで、モールス信号みたいに点滅して…」
諸伏が指差した先。コンビニの看板が不規則に点滅を繰り返している。それをモールス信号みたいだと叫んだ諸伏に、他三人もその看板の明かりを見つめた。
「おいおいありゃー…」
「みたいに…」
「じゃ、ないわね…」
「えぇぇ、ウソー! 改装中?」
「仕方ねぇ、別のコンビニに行こうぜ?」
自動ドアの前にセロハンテープで留められた『改装中』の張り紙。それを見て、店から去っていった男女を横目に、コンビニ襲撃犯の男の一人が携帯で仲間からの連絡を受けていた。
「警備会社の車が信号を通過したらしい…そろそろ改装中の貼り紙を剥がしておけ!」
「ああ!」
コンビニ前の駐車場に現金補充の警備員を載せた車が止まる。そのまま店に入り、ATMの前にやってきたことを確認すれば、隠し持っていたライフルを背中に突きつけ───
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作者名:爽来 | 作成日時:2022年4月25日 22時