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虚心坦懐 ページ18

──わだかまりのない素直な気持ちであること。

「チンタラしてんじゃねーよ…さっさと歩け!」

「あとどれくらいだ?」
「4,50万って所じゃね?」

あの後、伊達たち全員がガムテープと結束バンドで口と手を塞がれ、バックルームへと押し入れられた。降谷がバックルームの扉をくぐる前、別室で犯人の男たちの話を耳にした。

「いいか! 物音なんて立てやがったら…一回につき一人ずつブチ殺すからな!!」

大きく音を立てドアが閉められてすぐ、伊達は己の両手首に結われた結束バンドを外そうと身を捩る。その隣で降谷が伊達の履く靴の靴紐を解いていた。すぐに理由を理解した伊達は、降谷と背中を合わせるように後ろに振り向き、靴紐が擦れる摩擦熱で見事結束バンドを切ってみせた。

「やるな降谷!」
「みんなの拘束も解いてくれ!」

客たち全員の拘束を伊達が解く中、降谷は閉められた扉のドアノブを小さく回そうとする。予想通り鍵が掛けられていたようだ。

「しかし、犯人達の狙いは何なんだ?」

伊達の呟きに己の頭で狙いを弾き出していた降谷が答えた。

「ATMの現金補充の金だよ! 防犯上、補充のタイミングは誰にも知らされてないけど…ATMの防犯映像で大まかな収支をチェックしていれば、予想はつく。
 残り100万以内になった所で、立て続けに仲間に引き落とさせれば…銀行から、現金補充に飛んでくるってワケさ!」
「なるほど…店員もグルじゃなきゃできねぇ犯行だな…
 でも、何で奴らは顔を隠してねぇんだ? 店員なんてサングラスすらしてねぇし…」
「事が済んだら、皆殺しにする気なのかも…」

降谷の予想した言葉に周りの客たちがどよめきの声を上げる。

「そ、そんな…水を買いに来ただけなのに…」
「わ、私は娘のオヤツを…」
「心配するな! 何とかしてやる!!
 とにかく、ここから脱出する方法を考えないと…」

方法を考えようと頭を捻らせた伊達の後ろで、降谷が配電盤を見つけた。配電盤の繋がる先の一つは、店の外にある看板の明かり。

「(いけるかも!?)」

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作者名:爽来 | 作成日時:2022年4月25日 22時

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