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「鬼塚教官、厄介な連中を引き受けてしまいましたねぇ… しかも6人いっぺんに…」
「ええ…
 とんだ貧乏クジですよ…どいつもこいつもクセ者揃いで…。」

目も眩む日差しが差すグラウンドで走り回る生徒達を見つめながら、口の右端を上げ帽子を被った鬼塚が呟く。

「全科目オールA、長い警察学校の歴史でも類を見ない抜群の成績で入校、総代を務めた降谷は、あの真面目すぎる性格と頭髪のせいか、他の学生とのイザコザが絶えず…

 兄が長野県警の優秀な刑事の諸伏は、正義感は強いんだが…今も両親の事件のトラウマを抱えている。

 降谷に続いて総合力No.2、リーダーシップがある伊達も、警察官だった父親の辞職を引き摺っていて…

 優れた洞察力とコミュニケーションを持った萩原は、そのスキルを女子学生の尻を追い回すことにしか使っていない…

 伊達と僅差で総合力No.3、女子ながら男を圧巻させる身体能力を持った七星も、性別や目付きの悪さから問題が絶えない…

 そして松田…面接のマイナスを学科、実技や高いレベルの専門知識でカバーしたのはいいが…あの傍若無人で協調性の無さは致命的だ…

 先が思いやられるよ……」

言い切った鬼塚の目線の先には、先頭で未だにド突き合っている松田と降谷、そして先程鬼塚の口から出た他の四人が、他の者達を置き去りにし、先を走っていた。



 
「…で、あるからして…警察は、現場周辺の目撃情報を集めることになる
 ここで注意したい事…誰か分かる奴はいるか?」
「はい!」

褐色の手を大きく挙げた降谷に、鬼塚が彼の名を呼ぶ。丁寧に立ち上がり、自信を持ったハッキリとした声で降谷は答える。

「目撃情報の注意点として、犯罪現場に居合わせたストレスや思い込みや、警察官の誘導的な質問で目撃者の証言が歪められる可能性がある…
 その為、証言を鵜呑みにするのではなく、しっかりとした裏取りが必要である。」
「その通り! 流石だな降谷…」

「まあ、警察学校(ここ)を卒業した連中が…それをちゃんと実践できるかどうかはマユツバもんだけどな…」
「おい松田!? 貴様警察官を何だと思ってる!?」

嫌味を吐くように頬杖をつきながら突っかかった松田に鬼塚は声を荒らげ、松田を睨む。それを意に介することもなく、もちろんと呟いた。

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作者名:爽来 | 作成日時:2022年4月25日 22時

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