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竜虎相搏 ページ1

──優れた力のある者同士が激しく戦うこと。



 
「集合! 三列縦隊!! 日朝点呼、番号!」

 1
 2
 3
 4
 5

「鬼塚教場、気をつけィ!」

そう声を張り上げる班長の隣で大きく欠伸をする幼馴染に「呑気だ」と苦笑いしながら、左に不機嫌そうに目を細めながら立ち並ぶ、頬にガーゼや絆創膏を貼り付けた同期二人をチラりと見やる。逸れる目線に気付いたのか教官がその同期二人に視線を向けた。

「どうした? 松田と降谷…その顔…」
「聞きたいっスか?」
「ああ…是非お聞かせ願いたいねぇ」

ニヤリと意地悪そうに口角を上げた松田にズイ、と距離を縮め問い詰めようとした教官に待ったを掛け、「実は…」と訳を話し始めた班長こと、“伊達航”。
その訳を耳から耳へと通してぼう…と目の前を向いていれば、二列縦隊マラソンの号令にハッとし遅れないように教官の止める声を無視し、カウントを刻みながら後を追った。


「よォ、陣平ちゃん…何だよその面、色男が台無しじゃねぇか…」
「色男ねぇ…」
「うるせえよ萩、明日香も笑うんじゃねぇ」

「おまけに差し歯も抜かれてやんの、超ウケるゥ」
ねぇ、とこちらに向いた目線と共にケラケラと笑う。悪態をつき背中をド突こうとする腕を制止し、「ちゃんと走ってください〜」と押し返す。不満げに吐かれた息に小さく笑う。

“萩原研二”
“松田陣平”

彼らはその隣を走る、平均より背丈の高い女…“七星明日香”の幼馴染だ。入学するまでは、三人で共に過ごしていたという。

「しかし降谷って奴もやるねぇ…プロボクサーの父さんに仕込まれた陣平ちゃんとここまでやり合うとは…
 んで?どっちが勝ったんだ?」
「当然…」

 僕だ!
 俺だ!

きょとん、とする四人。自身と重なった声に松田と、その松田とやり合った降谷がお互いを睨み合い、走る足を止めずに反論し合う。やいのやいのと騒ぐ二人の肩を、その剛腕な腕で後ろから力強く囲み引き寄せた伊達がニコニコと笑った。

「おい、お前ら…何があったか知らねーが、次は俺も混ぜろよ!」

松と降谷、そして伊達班長の三つ巴…面白そうだな

「なぁに明日香チャン、面白いこと考えてんじゃん。俺は陣平ちゃんが勝つと予想」
「ん〜…じゃあ未知数の代表(降谷)くんにしよ」

えぇ浮気ィ?
いつも女引っ掛けてるアンタ()に言われたくないわよ…

 →



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作者名:爽来 | 作成日時:2022年4月25日 22時

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