Toxic Boy . (ページ7)

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「で、どうなん？ふっかさん」
『どうなんって…何が？』

帰り道、唐突な康二くんからの問いかけ。

「あの人、あんなんやけどモテてるやん」
『あー…そうらしいね』
「やから、どう思ってんのかなあって…」
『どうも何も、職場の人』
「そか、そーかそーか！！」

お前にはあのチャラ男はレベル高すぎるかぁ！と
私の背中をバンバン！と叩いた。この生粋の関西人め…。

さっきまで不安そうな顔で聞いてきたくせに
今となってはいつものにこにこ顔で
今日も飲もかー！と張り切っている。

『え、帰るんじゃないの』
「本人不在の歓迎会や」
『なんだそりゃ、飲みたいだけの癖に』
「ええやん！！行こやぁ」

正直、うるうる顔の康二くんに弱いのは私のダメな所。
…終電には帰るんだからね、と釘を刺すと
おっしゃ！とガッツポーズをして、いつものお店に向かった。

・

・

「…んで、何でふっかさんがおんのよ」
「え〜、あとから入ってきたのそっちね」
「やからってなんで！！4人で相席！！！なん！！」
「せっかくなら飲も〜よ、一緒にさぁ…ねえ？」

神様とは、運命とはなんぞや。

向かいで先程まで見ていた深澤さんのヘラヘラ顔と
その隣にはたしか…受付の花村さん。
美人で愛想も良く、男性社員の人気はお墨付き。

私の横には不満げな康二くんが座っていて
正直今すぐ抜け出して、家で缶ビールを飲みたいのが本音だ。

「でも嬉しいです、向井さんとお話してみたかったので」
「ハァ…それはどうも…？」

(嘘のつけない康二くん、わかりやすいなぁ)

上目遣いで康二くんを見つめた彼女に
あからさまに壁を作った彼。
好きな物は？休日は〜？と
私には自己紹介もせず康二くんへの質問攻めしかしないので
退屈な私は1人でお酒を飲むしかなくて。

「荒れてんねぇ」
『別にそんな事ないです』
「だぁい好きなこーじ、取られちゃったからかな〜」

頬杖をついて、私をじっと見つめる深澤さん。
正直その視線よりも、隣の彼女の視線の方が痛いのだが
勘違いも甚だしいのでやめて頂きたい所。

『…もう私、帰っちゃダメですかね』
「だーめ」

''あの子に康二が食われちゃってもいーの？''

2人には聞こえないように言ってきたこの人は、
根っから意地の悪い男だと思った。