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「移動ってふっかさんやったん〜?」
「なーによ、その言い方」
「だってさぁなんか新鮮味にかけるやん」
「こーじの意見に俺も賛成〜!」
「ちょっ…あんた達ほんっと失礼」
佐久間さんと康二くんは面識があったようで
なにやら食堂でよく顔を合わせるから仲良くなったらしい。
私はお弁当派なのでそんな出会いがあるとは知る由もなく。
「Aちゃんは、俺の事知ってた?」
『すみません、あまり部署以外の方とは関わらないですし』
「んえ〜そうなの?残念」
知ってた?って…どこまで自信があるんだこの人。
実際、全く知らないと言ってしまえば嘘になる。
___社内で有名な人たらし。
簡潔に言えば彼は人気者だ。
特にその人気ぶりを発揮するのは
社内で受付や別の部署の女性たちが
妙にソワソワしだす2月。
バレンタインに数々の女性社員から
彼がチョコを渡されてるのは知っていたし
仲のいい岩本さんに
食べきれねえ、とおすそ分けしに来た場面を
1度見た事があった。
__だから、覚えている。
その時すれ違い様に
フワッと香った甘いバニラの香りを。
「Aちゃんには俺の事たくさん知ってもらわなきゃねえ」
『必要以上に関わる気はないです』
「わ〜!手厳しいねえ」
私の発言にブハッと吹き出した佐久間さんと
もっと言ったれ!みたいな顔してこちらを見る康二くん。
言われた本人もヘラヘラ笑うだけで
…岩本さん、やっぱり指導係、変えましょうよ。
んじゃ、さっそくお仕事教えてくださーい、と
元々空席だった、私の左隣の席に腰掛けた。
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作者名:蒼 | 作成日時:2024年2月26日 2時