Toxic Boy . (ページ3)

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「おはよ、昨日はありがとなぁ」
『いーえ、こちらこそ』

俺まだ眠たいわ〜、と
どこかぽわぽわしたまま私の隣のデスクに掛けた。

am 9:24。

昨夜はあの後２軒目まで行って、解散した。
酔うと康二くんのだる絡みが炸裂するので、
彼が酔う前に解散するのがお決まり。

「おはよ〜ん」
『おはようございます、佐久間さん』
「んにゃー聞いてよ！今朝もうちの子たちがさぁ〜」
「朝から元気やなぁ」
「こーじぃ！こーじも聞いて聞いて！」

向かいに座るのは先輩の佐久間さん。
いつもニコニコふわふわしてるのに、いざ仕事中となると
まるで別人かのように仕事をこなす器用な人。

2匹の保護猫ちゃんを迎え入れてからと言うものの
毎日挨拶がわりにわが子自慢が始まるのが
うちの部署の恒例となっている。

朝礼すっから集まって〜と
部長の岩本さんの一声で、ワラワラと人が集まる。

「＿＿＿＿んじゃ、自己紹介してふっか」
「はぁい」

いつも通りの業務連絡や報告。
ただ一つ違うのは、見慣れない少し猫背の彼が
気だるそうな声で挨拶を始めた事。

「深澤辰哉です、あだ名はふっかね」
「まぁ、前から知ってる人もいるだろうけど」
「きょーからここに移動になりました」

簡単に自己紹介を済ませた後
よろしくねぇとへにゃへにゃ笑う。
なんだ、この気の抜ける挨拶は……。

周りが拍手したのと同時に自身も手を叩くと
少し重たいからの前髪からのぞく目と視線があって
彼の口角が上がったのがわかった。

仕事に戻れ〜、と岩本さんの声に合わせて
それぞれが席に戻ってパソコンと向き合い始めた。
私も戻ろうと背を向けようとした時
あ、ちょい待って。と肩を掴まれて。

「ふっかに仕事、教えてやって」
『私が……ですか？一応深澤さんより後輩…ですよね』
「ん、でもそうはいえ、この部署で働いてる期間は長いし。」
「Aなら信頼できるから」

一見強面だが、笑うと可愛いらしい笑顔が特徴的な岩本さん。
デスクの上には常にチョコレートが置かれてあって
なにか甘いものを食べてないと落ち着かないらしい。

そんなことは今どうでも良くて
信頼されてるとはいえ、
仕事を指導するのはどうも得意ではない。

「ごめんねぇ、本当は照に教わりたいとこなんだけど」
「お前、俺に言われても真面目にしないじゃん絶対」
「それは一理あるかも…ま、俺も女の子のがいーし」

だから、これからよろしくね。

あぁ、やっぱり甘ったるくて
なんか苦手だ、この人。