Toxic Boy . (ページ13)

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「おはよ、Aちゃん」
『お、はようございます』

「…起きたらひとりなんだもん、寂しかったあ」

私にしか聞こえないように言った彼は
昨日はありがとね。とお得意の笑顔で笑った。
…その言葉、一体何人の女の子に言ってきたんだろうか。

…果たして、聞いていいのか。
昨日私たちどうなりました？
もしかして、そういうことしちゃいました？

もし仮に、そうだとしたら。
その綺麗な指が私の身体をなぞったのだろうか。
その甘い声で、名前を呼ばれたのだろうか。
…その細くて、でも力強い身体に抱かれたのだろうか。

(ストップ。朝から、なんてこと考えてんの私)

あからさまに動揺しているのが分かったのか
顔、真っ赤だよ。とわざと耳元で囁いてきた彼。

その声に反射的に耳を塞ぐと
大袈裟、とまた笑った。

「ふっかさん、なんかちょっかいかけとん？コイツに」
「んえ？なんもしてないよ」
「やめたってや、経験値0なんやから」

ふっかさんがちょっかいかけるような相手ちゃうで〜と
少し馬鹿にしたように笑うもんだから
康二くんの馬鹿！と肩を強めに叩くと
ほんまの事やもん！とぷくっと頬を膨らまして拗ね出す。
…なんでそっちが拗ねるのよ。

「…やっぱ康二ってかわいいねえ」
「はあ？ふっかさんに言われても気持ち悪いで」
「でも頑張んないとね？」

その後康二くんにしか聞こえないように
何か言ったようで、一瞬曇った顔。
深澤さんの事だから
どうせまた変な事でも言ったんだろうなと
特に気には止めなかった。

朝礼、と岩本さんの一声で
いつものようにみんなが集合する。

＿＿その時、私の手を一瞬だけなぞった
深澤さんの指には気付かないフリをした。