Toxic Boy . (ページ2)

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「で、まだ彼氏できひんの？」

幾度も聞いてきた言葉に、
返事はしないまま、ジョッキに入ったビールを飲み干した。

「もういくつよ、27やろ？めちゃめちゃに女盛りやん」
『……女盛りどころか、もう越えてるよ、旬は』

そ？まだまだやんか、と言った後
追加注文お願いしまーす、とヒラヒラ手を挙げた彼。

都内某所の会社勤め、いわゆるOL。
新卒で入社した後、特に環境や人間関係に問題もなく、
今の職場でのびのびと仕事を続けている。

目の前に座る彼＿＿＿向井康二は
数年前に関西から転勤してきた2つ歳上の男性で
男女問わず人懐っこくて、仕事が出来る人。

「歳上やけど気遣わんとって！敬語もやめ！な！」

そう言いながら、ブンブンと私の手を握った彼とは
今ではこうして
仕事終わりの居酒屋で乾杯するほどに仲良くなった。

『康二くんだって、彼女いないくせに』
「俺はまだええねん、傷心抱えてんねんまだ」
『もう前の彼女と別れて半年たった』
「ウッ……あんま言わんといて」

彼は持ち前の人懐っこさとビジュアルで、
社内でも人気があるし、告白される現場を見た事もあった。
だけどこの数年
彼の隣にたつ女性は固定されることはなくて
向き合おうと努力をしてみても、何故か長続きしないらしい。

『康二くん、優しいし一途だし…なんでなんだろうね』
「……理由はな〜、わかってんねんけど」
『理由？』
「そ、でもこれは俺の問題やし、暫くは治らんな」

なにそれ、と聞いても
恋愛経験値0のお前にはわからへん！と悪態を着いて
片手に持つジョッキの中身を飲み干した。

…そういえば、明日だったっけ。
移動でこの部署にくる人がいるとかどうとか。

大きな会社の中では、移動があるのも特別な事では無い。
優しい人だといいな、今は男ばかりでパッとしないし
あわよくば女の人。

そんなことをぼんやり片隅で思いながら
追加で運ばれてきたビールを口にした。