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「んー……えい」
『わっ、わ、』
「あー、やっぱそうじゃん。泣かなくていっすよ」
くるっと肩を持たれて覗きこまれた顔。
目の前に彼の真っ直ぐな瞳があって
少し不器用な手つきで、ゴシゴシと涙を拭かれた。
「衣装、全然平気っす」
『……でも、迷惑かけました、ごめんなさい』
「散らかしてた俺らが悪いんで、マジで」
今日散らかしてたのはほぼ佐久間くんっすけどね、と
優しく笑った顔に
ドロドロした気持ちが少し熔けた気がして。
「てか肩、大丈夫すか?」
『へ?肩…?』
「うん、すごい勢いで突き飛ばしてたし」
そんな時に聞こえた、彼を呼ぶスタッフの声。
ハッと我に返って距離をとると、
一瞬びっくりしたような顔をしたものの、
また優しく笑った彼に、胸がきゅっとなった。
''なんか痛いとかあったら、言ってくださいね。''
''あ、あと今日のヘアメイク、最高っす。''
走り出した彼が、ヒラヒラと手を振ったのが見えて
恋心に気付くのに、時間はかからなかった。
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作者名:蒼 | 作成日時:2024年2月25日 20時