9 つの朝顔 (ページ8)

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____危ない！

佐久間さんに、ジュース貰ってもいー？と
声をかけられてケータリングまで取りに行った帰り。

衣装に着替える面々、開演時間が迫り
色々な声が飛び交う長い廊下。

部屋に入るなり、床に置かれた荷物に気付かず
バシャっという嫌な音と同時に

「わ、……やべ」
『す、……ッッッすみません！！！！！』

目黒さんの胸元にしっかり浴びせられたジュース。

衣装さんが怒るのは当たり前で、
邪魔！と肩を押されて
体が思わず廊下まで飛び出した。

幸い何とかなったようで、
良かった〜と安堵する各々の声と、
すれ違いざまに聞こえた衣装さんの舌打ち。

俯いて廊下に立ち尽くす私に

俺が頼んだしあんなとこに荷物広げた俺が悪いよ、
気にしないでいいからね、ごめんね、と
自分も泣きそうな顔をしながら
頭をぽん、と撫でてくれた佐久間さん。
ステージに向かうために出てくるメンバー皆が、
口々に気にすんな！と言ってくれるのも、
罪悪感が渦を巻いてじわじわと胸を埋め尽くすようで。

ごめんなさい、ごめんなさい。と
一人一人に頭を下げることしか出来なかった。

＿＿＿気を、遣わせちゃったな。

衣装さんに謝らないと。
でもその前に、床汚れたままだったりしないかな。

自分が泣くのはお門違いなのに
ぽろぽろとこぼれる涙を見られないように
俯きながら動こうとしたその時。

「顔上げてください」
『…っ』

低くて、少し甘くて、心地いい声。
聞こえたと同時に、掴まれた手。

『目黒、さん』
「こっち向いて下さいよ」

てっきり全員行ったと思ったのに
衣装を念入りにチェックしていたのか
遅れて出てきた彼に、気付かなかった。