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今日は珍しく時間があったので席についてコーヒーを飲む。
明日のスケジュール見とかな〜とか
あ、台本軽くさらっとこ、とか
そんなこと考えてると、パタパタと聞こえてきた足音。
『あの、康二さん!』
「……んぇ!?」
見上げると、制服から着替えて
束ねた肩までの髪を下ろした彼女が立っていた。
『もう、上がりなんです、実は』
「は、え、そーなん、おぉ、おつかれ」
『…一緒に、頂いたコレ、飲んでもいいでしょうか』
「…ヘェッ!?」
嬉しいのと可愛いので、多分俺顔真っ赤やと思うねんけど
なんならさっきから間抜けな声しか出てなくて
それも結構恥ずかしいんやけど。
『康二さん、面白い』
「なにがや、だってさあ!!」
『…ふふ』
「あかん…あんま笑わんといてぇ…」
目の前に失礼します、と一言いってから掛けた彼女。
そういう礼儀正しいとこも、実は好きで。
いただきます、と言ってソーダに口をつけた彼女が
いつもより少し大人に見えて、ドキッとする。
「…お、おいしい?」
『康二さんのご馳走だから、いつもより美味しいです』
「〜〜〜〜ッ……あかんてそういうの」
可愛すぎるって。好きやわ。
思わず声に出たあと、バッと口を塞いだ。
あかん俺、今、何言うた?
チラッと彼女をみると、
恥ずかしそうに耳を赤くしながら、
でもどこか、嬉しそうな顔して笑ってて。
「…あのさ、俺さ、わかりやすいと思うねんけどさ」
『…ふふ、はい』
「しかもさ、今もうなんなら声出てんけどさ」
『うん、聞こえちゃいました』
「めっちゃ好き、です、ほんまに」
『私もいつの間にか、毎日レジで康二さんのこと待ってました』
甘くて、苦くて、しゅわしゅわしてて。
いつの日か、初恋まだなんですって恋愛話もしてたっけ。
君にとって特別な1回きりの初恋。
俺の全部、ぜーんぶ、あげるから。
きっとこれ、もう最初からこうなること決まってたやんな。
(なあ、もうここでキスしてしまおか)
(…もう、からかわないでください)
(からかってへんて、ほんまに好きやもん)
image song : HELLO HELLO
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作者名:蒼 | 作成日時:2024年2月25日 20時