検索窓
今日:13 hit、昨日:69 hit、合計:55,927 hit

ページ40

そうして、どれくらい経ったんだろう。
薄い唇がゆっくり開いて、優しい声が響いた。


「_____俺、Aが好きや」


風が吹いて、そのブラウンの髪が揺れた。
言葉が出なくて、変わりに溢れてきたのは大粒の涙で。
視界がゆらゆら揺れて、その姿が滲んでいく。

「え、嘘、俺泣かせてしもた!?」
『ち、違うの』
「でも」
『…好きなの、大好きです、向井くん』

絶対に叶うはずないと、閉じ込めた気持ちが零れて。
そんな私の声を聞いて、大きく目を見開いた。

「ほ……ほんま?」
『ほんま、ほんまだよ』
「なんやねんそのエセ関西弁。…かわいすぎやからやめて」

大きな手が頬にふれて、私の涙を拭った。
そこには、幸せそうに笑う向井くんが居て。

『あは、なんで向井くんも泣きそうなの』
「だって、Aが泣くんやもん。嬉しいねん」
『変なの…ホント変だよ、私たち』

もうきっとあの時から分かってたのにね。
とっくにお互い惹かれあっていた事も。

きゅっと結んだ手。

「俺、意気地無し卒業できた?」
『うん。私も、卒業』
「卒業?」
『向井くんに好きって言うの、我慢すること』

本当は何枚も書いた、渡せないままのラブレター。
連絡先も交換してなかったから、伝えたくても伝えられかった。

「……な、抱きしめてええ?」
『えっ、ちょっと』
「無理、ごめん」

返事をする前に、その腕の中に閉じ込められた。
おずおずと背中に手を回すと、少し強まった力。

「ほんまに好き」
『……学校だよ、向井くん』
「ええねん、誰かに見られても」

あの時みたいに、もう子どもじゃないから。
目を合わせて、おでこをくっつけて笑いあった。

やっと重なった、私たちの物語。
もう一度彼の手が私の頬を優しく撫でて、キスをした。

『…キスって、こんな感じなんだ』
「どう?まあこれから先も俺としかせんやろうけど」

ドヤ顔で言ってくるもんだから、思わず笑ってしまう。
そんな私を見て、とっても嬉しそうで。

10cmだった私たちの距離は0cmになって
2回目の、キスをした。

(向井くん、好きだよ)
(俺は、もーーっと好きやけど!)


image song : 初恋の絵本

yellow→←orange



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (91 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
434人がお気に入り
設定タグ:snowman , 佐久間大介 , 目黒蓮   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2024年2月25日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。