red 〔𝘏𝘢𝘱𝘱𝘺 𝘉𝘪𝘳𝘵𝘩𝘥𝘢𝘺 !〕 ページ28
『お誕生日おめでとうー!』
「ありがとう、A」
2人でテーブルに座って12時ちょうどにクラッカーを鳴らす。少し驚いたようだったけど、嬉しそうな涼太くんに思わずこちらも笑顔になって。
『お願いごとしながらロウソク消して』
「願い事?」
『いーから!大事なの!』
一気に吹き消された「31」のロウソクと、2人の拍手の音。
『すごいねえ、今年は一緒にお祝いできたね』
「そうだね」
彼は職業柄忙しい。だから一緒にいれる今年は嬉しくて、私の方がニヤニヤしちゃって。翔太くんと涼太くんとは、小さい頃からの付き合い。高校生の頃、彼からの告白に答えてから…もう何年経ったんだろう。2人は気づけばスーパースターになっていて、どこか誇らしい気持ち。
『お願いごと何したの?』
「言ったら意味無いでしょ」
『えーっ!ちょっとだけ』
「お願いごとにちょっともないから」
そう言ってくすくす笑う。涼太くんが笑ってくれる顔が好き。
彼に比べて私は昔からどこか幼くて、子どもっぽくて。でもそれで悩んでいた私に「俺には無いところだし、そんな所が素敵だよ」と言ってくれた彼が、大好きで。
今日だって、本当は私がご飯作るって張り切ってたのに結局手伝ってくれちゃって、たまにはわがまま言ってもいいのにな。
『…涼太くん、産まれてきてくれてありがとね』
「こちらこそ出会ってくれてありがとう」
『今日はダメ!私にそういうの言ったら』
「なにそれ」
『…今日は涼太くんが、私にわがまま言う日にしたいの』
そう言うと、隣に座っていた私の頭を優しく撫でた。
「俺、わがまま言ってるよ」
『…そんな事ないよ、私ばっかだもん』
「あはは、じゃあ1つわがまま、言うよ」
じっと目を見て真剣な顔。私も思わず背筋を伸ばして、見つめ返した。
「これからも、俺の隣にいてくれる?」
その後、これがさっきのお願い事だけど。と付け足した。
それがわがままでいいの?そんなの優しすぎて、ちょっとずるいよ。
『…いるに決まってるでしょ!!』
「おお」
その胸に思い切り飛び込むと、抱きしめてくれた。
「ずっと俺のお姫様でいてね」
『でた、ロイヤル舘様』
「あれ、嫌いだった?」
『好きに決まってるでしょ〜〜…!」
優しく頬を撫でられて、ちゅ。とキスをした。
この笑い会える時間がずっと続いてほしいな。
(あのね、誕生日プレゼントあるよ)
(俺にとってはもう充分プレゼントだけどね)
(また出ちゃってるよ、ロイヤルが)
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作者名:蒼 | 作成日時:2024年2月25日 20時