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『ん』
「…口、ちゃんと開けてって教えたでしょ?」
いつもより、格段に低くて甘い声にクラクラする。
何度も各度を変えてあわさって、どんどんと深くなって
彼の上に座っていたはずなのに、いとも簡単にその体は押し倒された。
「んー、やっぱ俺は見下ろすのが好きだなあ」
『っ、ばか』
「あは、なんか主導権握ってる感じでアガる」
いつもは元気で明るくて、おちゃらけた彼がこうなる姿は私しか知らない。
その首に遠慮がちに腕を回すと、満足気にキスを落とした。
「ここがい?ベッドいく?」
『…いや、やっぱりちょっとまって。まだお昼』
「しりませーん佐久間さんには昼も夜も関係ありませーん」
ひょいっとお姫様抱っこされて、寝室へ連れていかれそうになるのを必死にとめた。どこか不服そうになあに、と聞いてきた彼。
『違うじゃん、今日はゆっくりする日だよ』
「ゆっくりしてるじゃん」
『そうじゃなくて!これじゃお休みにならないでしょ』
その言葉に、ニヤッと笑った彼。…やばい、やらかした。
「なんで?なんでそー思うの?」
『…いや、えっと』
「もしかして、想像しちゃったりした?」
“疲れるような事、俺としてるトコ”
耳元でボソッと話されると、くすぐったいから嫌だって言ったのに。
鍛えられた胸板を叩くと、いててと笑いながら歩き始めた。
痛がってない癖に。結局、寝室に向かってるのは誰なのよ。
優しくベッドに下ろされると、もう一度キスが降ってくる。
「俺はね、Aといるだけで元気になれるんだよ」
『…大介くん』
「いつもありがと。んふ、だーいすき」
彼の愛情表現はキスする事だと、以前言っていた。
「ね、俺の気持ち伝わってる?」
『もう、恥ずかしいくらい』
「にゃは、良かったあ」
でももっと、わかってもらいたいなあ。
少し冷たい彼の手が脇腹に触れて、思わず身をよじった。
今日も結局彼に甘やかされて、溶けてしまいそうになる。
「今日、最高の休みだわ」
最後にそう言って、ベッドに深く沈みこんだ。
(ツナとシャチばっか可愛がるんだもん、お仕置)
(…意地悪だ)
(そんな俺の事も大好きなの、バレッバレだけどね)
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作者名:蒼 | 作成日時:2024年2月25日 20時