pink ページ23
「ツナー、シャチィ」
飼い主の呼び声に一切反応せず、私の膝の上から動かない2匹の猫ちゃん。
『あはは、今は違うみたい』
「なぁんでよ!久々のお休みなのに」
休日。外に出る?と言ってくれたけど、仕事で疲れてる彼にゆっくりして欲しくて、お家デートを提案した今日。
ソファでくつろぎながらアニメを鑑賞する彼と、その下に座って2匹と戯れる私。
「よしよーし」
『さっくん、それは私の頭ね』
「あれっ、ほんとだ」
『何、そのボケ』
にゃあ、とそんな私たちの会話に反応するように鳴いた2匹の頭を撫でると、嬉しそうに擦り寄る。
『ねーえ、俺じゃないの?』
「どっちとも今は私に甘えたいんだよねー?」
『ちっがう』
さすがの腹筋で一気に起き上がったと思ったら、私の顎を掴んでちゅ、と音を鳴らした。
『…え?』
「え?ってなによ」
『いや、いきなりだから』
「ありゃ、許可制?」
『…いや、いつでも受け付けてるんだけど』
「にゃはは!じゃあいっか」
そう言ってまたちゅ、とキスされる。触れるだけの可愛いキス。
なのになんだかその薄く開かれた目と、離れた後にペロッと唇を舐める姿がやけに色っぽくて。
『あ、』
「あは、うちの子たちわかってんねーえ」
撫でる手が止まったからからなのか、空気を読んだからなのか私の膝上から離れていく2匹。…ちょっと、帰っておいで。
「…んで?俺じゃないの?今日Aがヨシヨシしなきゃいけないのってさ」
疲れてる佐久間さんを、癒せるのはAだけなんだけど。と意地悪に笑う彼の姿。…悔しいけど、そういうところも好き。
『さっくん』
「んーん、そうじゃなくて?」
『…大介、くん』
「んふ、いーこだね」
ポンポンとソファを叩かれて、その場に上がる。
隣に座ろうとすると、そこじゃないと膝の上に載せられて向き合う状態になった。
『…ねえ、ちかい』
「もしかしてドキドキする?」
私の顔を覗き込んでおでこを合わせると、妖しく笑った。
こうなるともう、完全に彼の思うツボ。
434人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:蒼 | 作成日時:2024年2月25日 20時