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ねえ、打ち上げなんか出ないで。

そんなワガママは言えずにまた、
【打ち上げ参加するから、遅くなると思う。ごめんね】
その連絡に、OKのスタンプを返した。

彼の仕事は立派なものだ。私には到底、手に届かないもの。
何万人が入るあのドームで、自分たちの事を愛してくれる人達がたくさんいて…どんな感覚なんだろう。想像することも出来ないけど。

『…晩御飯、冷めちゃったな』

今日は地方じゃなく、都内でのライブだった。
今をときめくスーパーアイドル、飛ぶ鳥を落とす勢い、今1番CDが売れてるアーティスト。

色んな肩書きはあるけど、私にとってはたった1人の大好きな人で、夢を掴むその前からずっと見てきた人。

亮平くんは、頭が良くて、努力家で、負けず嫌いで、誰よりも優しい。グループの縁の下の力持ちは彼だと思う。


「不安にさせることは沢山あると思うけど、でも、一緒にいて欲しい」
『うん、一緒にいさせてください』

同じ大学、アイドル活動している事は校内でも有名だった。
私は正直興味もなければ詳しくもなくて、そんな時に講義が一緒でよく話すようになったのが亮平くんだった。

受験期はメンバーに迷惑かけた、と泣きそうな顔をして言っていた彼の姿を、今でも覚えている。

大学を卒業した日、彼から告げられたその言葉。
【アイドル】の阿部亮平じゃなくて、私が好きなのは、阿部亮平という1人の人間で。

『すごいなあ』

用意していたご飯にラップをかけて、彼がくれた前回のライブツアーのDVDを付けた。
私の知らない亮平くんが、ここには沢山いる。
その姿を見るのは好き。キラキラしてて、可愛くて、かっこよくて、みんなに愛されている亮平くんは本当に心からすごいと思う。…でもね。


『一緒にいる時間、減っちゃったな』


忙しくなる度、私と会う頻度は減った。
今日も、ライブ終わったら帰れるよという連絡に胸を踊らせて、スーパーに行って、彼のマンションに来て。
ウキウキした気持ちで鍵を開けたのに、今はそんな姿を思いだして虚しくなるだけ。

“その夢、どうやって続けていくの?”

まだ知り合いたての時、言いたくて言えなかった言葉。
正直、彼らは遅咲きだった。その培ってきた努力が大輪の花を咲かせたというのは正しい。でも当時、真っ先に思ってしまった事。ここまで秀才なら、色んな道が選べたはず。
だけど彼は、勉強が好きで、それさえグループに活かせたら嬉しいと、根っからのアイドルで。…だから何も、言えなかった。

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設定タグ:snowman , 佐久間大介 , 目黒蓮   
作品ジャンル:恋愛
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作者名: | 作成日時:2024年2月25日 20時

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