9 つの朝顔 (ページ15)

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blue ページ15

「ん」
『…ん？』

ぶっきらぼうに突き出された紙袋。
彼、翔太とは幼馴染みで家に行き来するのは当たり前。
今日も彼からの
''ちょっとうちで飲まね？''の一言で集まった。

住んでいる場所が徒歩で5分なのもたまたま。
知った時は相変わらずの口の悪さで
気持ち悪いわ！と笑われたっけ。

テーブルに空いた2本目の缶。
そして目の前に突き出されたブランドのショップバック。
有名なアクセサリー店の物だ。

『翔太、なんか私に借りでもあったっけ』
「はあ？」
『あ、ちがうの？じゃあ誰かと間違えてる？』

だってもちろん、こんなものを貰うような関係性ではない。
物心ついた頃から私は彼のことが好きだったけど、
中学生に上がった頃ぐらいから
彼はその圧倒的なビジュアルで女子にもてはやされていたし
それなら幼馴染みのままがいい、と
思いをつげることもなく、今に至る。

「あのさあ……お前まじ？」
『まじって、なにが』
「…誕生日、」

携帯が指すのは0:00分。
日付が変わると同時に、私のスマートフォンに
''お誕生日''とカレンダーアプリの通知が届く。
呆れたような顔をしながら、
翔太の耳は真っ赤に染っていて。

『もしかして、これの為に今日呼んでくれたの？』
「…そういうとこだけ勘がいいの、マジで嫌だわ」

はい、と半ば強引に押し付けられたそれを
反射的に受け取る。
お互い誕生日のプレゼントを渡すことはあったけど
日用的な物とか、お店のご飯をご馳走するとか
…割と、友達感覚のお祝いをしてきたから
こんなにしっかりしたものを貰うのは初めてで。