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you side
「…す…雀鈴先輩ですよね?」
『あっうん。いやごめん、入っていいよ』
忘れてた。完全に。
いやだってだよ?そもそもまともな部員すらいないこの部活を見学しに来る子がいるか?
いやいないでしょ。
そう思って完全に記憶リストから除外していたのが仇になったらしい。
冬の快晴を切り取ったような綺麗な水色の髪に、厚みあるぐるぐる眼鏡。パッと見ただけだとかなり怪しく見えるその後輩君は、きょとんとこちらを見ていた。…正確には、見ている気がした。顔隠してる人多いね。
いやそういえばなんで私の名前知ってるの?
疑問は盛りだくさんだが、一先ず少し前にくられ先生から渡された気がする見学者記録用の用紙を探す。
ちらりと彼を見れば。困惑しつつ先程まで私が居た席の近くに腰掛けていた。辺りを見回している様子の彼に、なんだか申し訳無くなる。
ごめんな、ちゃんと活動している部員なら一人として居ないぞ。
その事実に改めて切なくなりつつ、ようやく見つけたその紙を持って彼の元へ。
歩いてくる私の存在に気付いたらしい彼は、ぴんと背筋を伸ばして座り直していた。なんだ、意外といい子なのかな。
『えぇと?取り敢えずクラスと名前教えて』
「はい!1年B組のチーノっていいます」
『チーノくん…うん、ありがとう』
ささっと書いて、もう一度チーノくんを見る。こてん、と首を傾げてこちらを見ている彼は、なんというかあざといやつだ。一歳違うだけでこんなにあざとくなれるものなのか?
…しかし、彼の名前、何処かで聞いたことあるような気がするのだけれども。
『んー、まぁいいか。ところでチーノくん、急だけどここの部活入ろうとしてるならおすすめしないよ』
「はい、って、ん!?第一声それですか!?」
『いや、だって周り見てみな?そういうこと』
「確かに誰も居ませんけど」
そうだね!!
思いの外言葉が刺さる。私が言葉を濁したんだから察してくれ。痛い、とても痛いからそれ。
「や、でも俺ここ以外入る気ないですよ」
『…??』
冗談のトーンではない事ぐらいわかった。
だからこそ、何でそう思っているのかが全くもってわからない。
『絵が凄い好き…とか?』
「いや、俺絵は描けないですよ」
『んん…?え、えっ?本当になんで?』
「先輩の事が気になったので!」
『なるほ……いやなるほどじゃないわ』
最近の後輩ってこんなにぐいぐい来るんだな。
すっごい、私知らなかった〜!
今すぐ帰っていいですか?
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森樂(プロフ) - ライアさん» 名推理!わかっていただけて安心しました、大正解です!! (2020年12月25日 6時) (レス) id: 319bfda70e (このIDを非表示/違反報告)
ライア(プロフ) - なるほど、名探偵のようなポーズ…実写動画でのお決まりポーズですよね?! (2020年12月24日 22時) (レス) id: a00b590788 (このIDを非表示/違反報告)
森樂(プロフ) - 小豆さん» 私も美術部員ですこんにち((ありがとうございます、引き続きよろしくお願いします!! (2020年12月23日 21時) (レス) id: 319bfda70e (このIDを非表示/違反報告)
小豆 - 同じ美術部員ですどう(((めちゃ神作ですね!!(確定)これからも更新応援しています! (2020年12月23日 11時) (レス) id: 73726d907e (このIDを非表示/違反報告)
森樂(プロフ) - つむ(^p^)**さん» ありがとうございます嬉しいです(号泣)作品の展開的にキャラに偏りありますが続々と出せていけたらなと思うので(願望)これからもどうぞよろしくお願いしますー! (2020年12月21日 15時) (レス) id: 319bfda70e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:森樂 | 作者ホームページ:https://twitter.com/Sinra_ura_d?s=06
作成日時:2020年12月3日 23時