1日目と屑の人 ページ22
You side
バスに揺られながら、深くため息をつく。
都会から完全に離れて、窓の景色も緑一色。こうなってくると、あー遠足だなって感じがしてとてつもなく嫌だ。あと今更だけど林間学校って普通中学の頃にやるもんでは?
帰宅の道のりは自費で出すのでお願いだから帰らせてほしい。今すぐ降ろせください。家でパソコンちゃんとイチャイチャすんだよ私は。
が、そんな願いは届くわけもなければ叶うなんて夢のまた夢。バスは無慈悲にも目的地へと近付いていた。ちなみに移動で数時間。時刻は昼を過ぎている。
「えらいため息やなぁ、なんかあったん?」
『え、うーん…なんでもないかなぁ』
まさか帰りたくてなんて言えるわけもなく誤魔化せば、少し心配げに追求するわけでもなく無理せんといてな、と言われる。
もしかしなくても:良い人。
その後(主に私が)たどたどしく会話を続けていた頃、バスが停車した。
後ろに広大な山のある古めの旅館が、今回宿泊する場所らしい。なんか幽霊とか出そうだね。怖。
バスから降りてぼうっと眺めていれば、肩をつつかれる。
出そうだ、だなんて嫌な想像をしていたせいか思わずびくりと震え振り返れば、そこには綾さんでもなければロボロくんでもなく…
「やあ。Aちゃん」
『うわぁ…?…あっ、…あー…確か鬱さん?』
「うわぁって。せやで、うつくん(はーと)って呼んでな」
脊髄反射で返事をすれば、にっこりと笑みを携える鬱く…いや。鬱さんがそこに居た。さん呼びは勘である。なんとなく。
オスマンくんとはまた違う笑い方だなと思いつつ、小首を傾げる。何でここにいるんだ、ってか置いてかれた?
「もしかして先生の話聞いとらんかった?皆なら旅館に荷物置きに行っとるで。僕もこれから行くんやけど、突っ立ってるAちゃん見えたから」
『あぁなるほど。ありがとうございます鬱さん』
「どういたしましてってさん呼び…」
悲しいわぁ、とあからさまにヘコむ鬱さんを見つつ、手に持っていた荷物を持ちなおす。忘れ物はないよなと持ち物を確認してから旅館に向けて歩き出して……
後ろを振り返った。
『……え、っと…行かないんですか?』
「え?」
『んえ?』
謎の間が生まれた。
なんだコイツとか思われてたりする!?そうしたらかなり心に来るんだけどな!!
内心涙目になっていれば、心なしか嬉しそうに
「行く行く!ちょお待ってな!」
自分の荷物を持って歩いてくる彼に、また首を傾げるのだった。
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森樂(プロフ) - ライアさん» 名推理!わかっていただけて安心しました、大正解です!! (2020年12月25日 6時) (レス) id: 319bfda70e (このIDを非表示/違反報告)
ライア(プロフ) - なるほど、名探偵のようなポーズ…実写動画でのお決まりポーズですよね?! (2020年12月24日 22時) (レス) id: a00b590788 (このIDを非表示/違反報告)
森樂(プロフ) - 小豆さん» 私も美術部員ですこんにち((ありがとうございます、引き続きよろしくお願いします!! (2020年12月23日 21時) (レス) id: 319bfda70e (このIDを非表示/違反報告)
小豆 - 同じ美術部員ですどう(((めちゃ神作ですね!!(確定)これからも更新応援しています! (2020年12月23日 11時) (レス) id: 73726d907e (このIDを非表示/違反報告)
森樂(プロフ) - つむ(^p^)**さん» ありがとうございます嬉しいです(号泣)作品の展開的にキャラに偏りありますが続々と出せていけたらなと思うので(願望)これからもどうぞよろしくお願いしますー! (2020年12月21日 15時) (レス) id: 319bfda70e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:森樂 | 作者ホームページ:https://twitter.com/Sinra_ura_d?s=06
作成日時:2020年12月3日 23時