シンビジウム ページ7
エマside
レイ「で、何の本読むんだ?」
エマ「面白い奴が良い!」
『"ウーゴ冒険記"とかは?』
ノーマン「ウーゴ冒険記?」
ウーゴ冒険記はその名の通り、主人公"ウーゴ"が相棒のキツネザル"マーヴィン"と世界の秘境を旅する冒険の物語。
面白いと思うけどな、アルヴァピネラの蛇とか、真水を溜め込むイソギンチャクとか。
そう言うAの話にちょっと興味が湧く。
『えーとね、ロフト上の右端の本棚。あれの3段目辺りにあると思うよ。気になるなら読んでみたら?』
その言葉を聞いてすっ飛んで行く。
目当ての本を持って帰ってきたあと、不思議に思っていたことをAに聞いてみた。
エマ「A、さっき本の場所ピタリと言い当てたよね。どうやったの?まさか本の位置全部覚えてるとか!?」
『あはは、流石にないわ〜。レイならまだしも。私全部の本読み終わったわけでもないし』
レイ「おい、買い被んな。俺だってまだ全部読みきれてねぇよ」
エマ「じゃあどうやったの?」
『魔法♪』
エマ「魔法!?」
え?え!?
Aって魔法使えたの!?
意味が分からず頭を抱える私に、3人は揃って大爆笑してる。
ノーマン「エマ、魔法じゃないからね?Aが使ったのは二分探索って方法」
エマ「ニブンタンサク?」
レイ「魔法て、信じるなよエマ、ファンタジー小説の読みすぎだ」
『可愛いからオールオーケーよ〜』
レイとAはまだ笑っていて、なんとか笑いを納めたノーマンが説明してくれた。
ノーマン「目的のものが中央値より右か左かで絞り込んでいく方法だよ」
例えば4000冊の本があったとして、中央の本を1冊引き抜いて、目当ての本の頭文字がそれより前にあるか後にあるかで残り2000冊に絞り込む。
その2000冊で、また同じことを繰り返して1000冊に絞り込む。
4000冊の中から1冊を見つけ出すには12回引き抜けば良い。
レイ「Aは本の配置と目的物の位置を想定して計算しただけだよ。ぷっ、魔法かぁ」
エマ「もうっ!茶化さないでよ!」
『良いのよ別に、知らなかったなら知れば良い。1人で全部やる必要はないもの。エマには仲間がいるでしょう?ノーマンもレイも、私もそう。1人で出来ることなんてほんのちょっとしかないんだから』
そう言って目を細めて笑うAの瞳はとても穏やかだった。
シンビジウムの花言葉
《飾らぬ心》
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アイリス(プロフ) - アイさん» ありがとうございます!頑張ります! (2021年3月2日 7時) (レス) id: b185c217cf (このIDを非表示/違反報告)
アイ(プロフ) - すごか面白くて毎回楽しみにしています!これからも頑張って下さい! (2021年3月2日 3時) (レス) id: 2782a43946 (このIDを非表示/違反報告)
チッピとデーラ - なるほど、「無人の贖罪先」ですか!そういう事だったんですね!納得です。 (2021年2月10日 22時) (レス) id: 4102ef7177 (このIDを非表示/違反報告)
アイリス(プロフ) - ありがとうございます!「無人の贖罪先」、という言葉を使いたくてそう表現させていただきました。更新頑張ります! (2021年2月9日 23時) (レス) id: b185c217cf (このIDを非表示/違反報告)
チッピとデーラ - はじめまして!作者様の作品を読ませていただきました!擦り傷のように消えてはくれない、という文章で、スキマスイッチの雫という歌を連想して感激しました!歌詞とぴったりすぎて!続きを早く読みたい気持ちでいっぱいです。更新頑張ってください!応援しています。 (2021年2月9日 22時) (レス) id: 4102ef7177 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アイリス x他1人 | 作成日時:2021年1月31日 10時