ヒガンバナ ページ49
レウウィス「しかしこうして見ると不思議なものだ」
私を部屋に送ってくれる、と言うので支えてもらいながら歩みを進めた。
肩に乗るのは心臓に悪いもの。
『何がです？』
レウウィス「何百年と生きてきたが、たったの一度も人間と共に歩いたことはなかったよ」
『話したことはあるのに？』
レウウィス「随分と血気盛んな会話だったからね」
長く生きているレウウィス様がそう言うのなら、他の鬼もそうなのかな。
『本日はありがとうございました』
レウウィス「こちらも楽しかったよ。また会える日を楽しみにしている」
レウウィス様が踵を返すのを見て、部屋の扉を閉めた。
『はぁっ』
疲れた...！
フラフラとベッドの縁まで歩いてそのままダイブ。
鬼と話すこともそうだけれど、周りの視線。
廊下、部屋、王間でさえも。
不快感、食欲、物色。
私の隅から隅まで、なんなら心までを覗き込んで来るようなあの視線。
私が「
それとも、私が「
___「足が不自由な子の世話__大変じゃなあい？」
レイも...レイも、内心は思ってたのかな。
自分の足をさすった。
『私だって...私だって、好きで足が不自由な訳じゃないよ』
そう考えると目頭が熱くなってポロポロと涙が零れてきた。
まだ、数日目なのにね。
一言二言話すときでさえ冷たい視線、冷めた声。
『なんで、なんで邪険にされるのかなぁ...。私はただ、家族といたかっただけなのに。笑って暮らしていたかっただけなのに』
例えお腹一杯ご飯が食べれずとも、綺麗な服がなくとも別に良かった。
みんなの中から私がいなくなって何日目の朝か、なんてもう覚えていない。
毎朝「おはよう」の声が聞こえなくてももう涙は出なくなった。
それこそ最初の数日はショックと絶望で魂の抜けた日々を送っていた。
スミーから真実を聞いたときもそう。
貴方がいない世界なんて私には生き地獄で。
でも、死んでいった兄弟たちを想うと私は生きなくてはならない。
ここに来て自分の無知さ無力さを痛感した。
行く末を知っているのに止めてあげられないことが、どれほど悲しくて、悔しくて、心苦しいことか___。
ヒガンバナの花言葉
《悲しき思い出》
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アイリス(プロフ) - アイさん» ありがとうございます！頑張ります！ (2021年3月2日 7時) (
レス) id: b185c217cf (このIDを非表示/違反報告)
アイ(プロフ) - すごか面白くて毎回楽しみにしています！これからも頑張って下さい！ (2021年3月2日 3時) (レス) id: 2782a43946 (このIDを非表示/違反報告)
チッピとデーラ - なるほど、「無人の贖罪先」ですか！そういう事だったんですね！納得です。 (2021年2月10日 22時) (レス) id: 4102ef7177 (このIDを非表示/違反報告)
アイリス(プロフ) - ありがとうございます！「無人の贖罪先」、という言葉を使いたくてそう表現させていただきました。更新頑張ります！ (2021年2月9日 23時) (レス) id: b185c217cf (このIDを非表示/違反報告)
チッピとデーラ - はじめまして！作者様の作品を読ませていただきました！擦り傷のように消えてはくれない、という文章で、スキマスイッチの雫という歌を連想して感激しました！歌詞とぴったりすぎて！続きを早く読みたい気持ちでいっぱいです。更新頑張ってください！応援しています。 (2021年2月9日 22時) (レス) id: 4102ef7177 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アイリス x他1人 | 作成日時：2021年1月31日 10時
