ユリ ページ45
Aside
『〜〜♪〜〜〜♪...』
ヒラヒラと自分の方へ飛んできた蝶に手を伸ばした。
『あら、蝶々...。どこから来たのかな』
王城に来て、数日が経った。
___数日前
女王「ほぅ...見事なものよ」
『...光栄です』
拍手喝采。
___『私に、時間を下さいますか』
女王達が私に求めたものはまさに"娯楽"。
これは賭けだった。
女王たちが、私の歌に興味を持つかどうか。
私の歌に、価値を見出だしてくれるかどうか。
___「Aの歌は綺麗だから、聴いていて心地が良いよ」
レイ、ありがとう。
あなたのお陰で、やる勇気が出たの。
博士、スミー。
私はなんとか生きてるよ。
生きられているよ。
でも２ヶ月という時間はあまりにも長く、終わりのないものに感じる。
『暇だなぁ...』
誰もいない部屋で、ぼーっと歌を口ずさんでいた時だった。
「誰かいるのか？」
『っ！？』
開いた扉の隙間から、１体の鬼が顔を覗かせていた。
全身真っ黒な服に身を包んだ、細身の鬼。
肩には猿？だか分からないけど、１つ目の動物を乗せている。
「人間...？あぁ、君があの人形か。聞き及んでいた通り、随分と綺麗な歌声だねえ」
『ぁ、りがとう...ございます』
ﾋｭｯと声が裏返ったけど、目の前の鬼は細かいことを気にしないみたい。
部屋に入ってきて、物珍しそうに私を見ている。
ピン、と体に糸が張り詰めるような緊張感。
体が硬直して、動けない。
「ははは、そんなに怯えるほど私が怖いかい？参ったなぁ」
へたり込んで動けない私と、私を覗き込むように腰を曲げる鬼。
大きなマント、大きな帽子。
更には、顔を多い尽くすほど大きく固そうな銀色のお面。
「GF農園第３プラント、特上、78194...確かその名前は、A。そうか、君がAか」
『な、んで...』
何で、分かるの？
ビックリしたまま固まっている私に、鬼は笑った。
「GFの特上はね、君たちが思っている以上に有名なんだよ。優秀な飼育官がとても美味な肉を育てている、とね」
『...その、特上って、なに？』
「食用児のランクさ。特上は最年長で、最も価値がある」
何だか、他の鬼たちと違う。
どの鬼も私にこんな喋らなかった。
『...お名前は？』
「ん？あぁ、そういえば言っていなかったね。私はレウウィス。こっちはペットのパルウィス。レグラヴァリマの弟だ」
ユリ(赤)の花言葉
《虚栄心》
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アイリス(プロフ) - アイさん» ありがとうございます！頑張ります！ (2021年3月2日 7時) (
レス) id: b185c217cf (このIDを非表示/違反報告)
アイ(プロフ) - すごか面白くて毎回楽しみにしています！これからも頑張って下さい！ (2021年3月2日 3時) (レス) id: 2782a43946 (このIDを非表示/違反報告)
チッピとデーラ - なるほど、「無人の贖罪先」ですか！そういう事だったんですね！納得です。 (2021年2月10日 22時) (レス) id: 4102ef7177 (このIDを非表示/違反報告)
アイリス(プロフ) - ありがとうございます！「無人の贖罪先」、という言葉を使いたくてそう表現させていただきました。更新頑張ります！ (2021年2月9日 23時) (レス) id: b185c217cf (このIDを非表示/違反報告)
チッピとデーラ - はじめまして！作者様の作品を読ませていただきました！擦り傷のように消えてはくれない、という文章で、スキマスイッチの雫という歌を連想して感激しました！歌詞とぴったりすぎて！続きを早く読みたい気持ちでいっぱいです。更新頑張ってください！応援しています。 (2021年2月9日 22時) (レス) id: 4102ef7177 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アイリス x他1人 | 作成日時：2021年1月31日 10時
