サルビア ページ28
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スミー「やぁ、A。ここの生活には馴れたかい?」
『...うん。馴れたよ』
私がΛに来て約2週間。
10月も半ばになった頃にスミーが訪ねてきた。
今日が、スミーが味方かどうかを訊ねるチャンス!
心臓がバクバクと身体中に響いているのを感じる。
『この前ね、博士が新しい本をくれたの。そこの棚の本、読み終わっちゃったから』
スミー「早いな。ハウスでもよく本を読んでいたのか?」
『うん、そう。読書が趣味で、同い年の親友と一緒に読んでたの』
なるべく、自然にして。
サイドテーブルに積み重ねて置いた本に手を伸ばす。
大きなベッドの上に、一冊ずつ本を置いていった。
それはモールス信号の蔵書表が載った、ウィリアム・ミネルヴァさんの本。
スミーが本当に私たちの味方なら、何か変化がある筈。
___『外に出たらまた会おうね』
___「うん!Aも元気でね!」
大丈夫。
みんなのこと、私がちゃんと助けるから!
スミーの表情をよく観察して。
僅かな変化も見落とさないように。
真実を見落としてはいけない。
『でね、私博士に頼んだの。この本が欲しいって』
そう言って私は"ウーゴ冒険記"を最後に見せた。
スミーの目が、段々と見開かれていく。
それを私は見逃さなかった。
___「私は君の味方だから」
そして、最後に私は言った。
『ウィリアム・ミネルヴァ』
途端にスミーの呼吸が一瞬だけ、止まった。
ドンピシャ!
確信を持った私は安心したからか張り詰めていた気がふっと抜けた。
『スミーは私たちの味方なんだよね?私たちを、助けようとしてくれているの?』
スミー「あぁ。私は、私
『じゃあ!』
パッと表情を明るくする。
『お願い!私の兄弟たちを助けるのを手伝って!今まで里子に出された兄弟たちと、今ハウスにいる兄弟も!』
これで、これで皆を助けられる!
良かった!
スミー達に協力してもらって、食べられる為の存在意義なんて壊して。
皆でまた幸せに暮らそう。
なんて、甘い考えを私は持っていた。
スミー「今までに出ていった子達は、助けられない」
『......え?』
サルビアの花言葉
《家族愛》
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アイリス(プロフ) - アイさん» ありがとうございます!頑張ります! (2021年3月2日 7時) (レス) id: b185c217cf (このIDを非表示/違反報告)
アイ(プロフ) - すごか面白くて毎回楽しみにしています!これからも頑張って下さい! (2021年3月2日 3時) (レス) id: 2782a43946 (このIDを非表示/違反報告)
チッピとデーラ - なるほど、「無人の贖罪先」ですか!そういう事だったんですね!納得です。 (2021年2月10日 22時) (レス) id: 4102ef7177 (このIDを非表示/違反報告)
アイリス(プロフ) - ありがとうございます!「無人の贖罪先」、という言葉を使いたくてそう表現させていただきました。更新頑張ります! (2021年2月9日 23時) (レス) id: b185c217cf (このIDを非表示/違反報告)
チッピとデーラ - はじめまして!作者様の作品を読ませていただきました!擦り傷のように消えてはくれない、という文章で、スキマスイッチの雫という歌を連想して感激しました!歌詞とぴったりすぎて!続きを早く読みたい気持ちでいっぱいです。更新頑張ってください!応援しています。 (2021年2月9日 22時) (レス) id: 4102ef7177 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アイリス x他1人 | 作成日時:2021年1月31日 10時