青の刹那 ページ34
レイ「覚えた？」
『うん』
レイ「じゃあ目を瞑って。俺が良いって言うまで、開くなよ」
夕焼けに照らされオレンジ色になった景色を瞼の裏に焼き付けてから目を閉じた。
10秒ほどか20秒ほどか。
短い時間の後に、レイは「目を開けて」と言った。
指示に従い、目を開く。
すると、さっきまでとは全く違う光景が目に飛び込んできた。
『わぁっ……！青い！』
ほんの数十秒前までオレンジ色だった景色は一転して、一面が青い光に包まれていた。
空も建物も草木も、眩い青に染まっている。
美しい青の世界に、私は息を呑んだ。
レイ「
レイは私の隣に腰を下ろした。
青はだんだん深くなりやがて藍色に変わる。
レイ「北欧に捜索へ行った時偶然見てさ。調べたら、緯度が高いとこでは夜中でもあの色らしい。発つ前にAに見せてやれて良かった」
青い空が忘れられずに、私はその場から動けなかった。
『綺麗ね。見せてくれてありがとう。私、忘れないわ』
あの空を青の瞬間と言うならば、今私たちの間にある青い春を、青の刹那とでも呼ぼうか。
『青く見えるのは、光の散乱ね』
レイ「そう。太陽が地平線からマイナス6度くらいになったらこの瞬間が訪れる。学説的に言えば市民薄明と航海薄明の間」
5分と少し経つと、空はいつもの夜の色に戻った。
大気圏の彼方に一等星が輝いている。
レイ「前も今も、寂しい思いさせてごめんな。ずっと1人にさせてる」
『ううん、ううん。理由があるの分かってるもん。私は大丈夫よ。大丈夫』
レイが私を抱きしめた。
温もりに包まれて泣きたくなる。
『それに私言ったもの。「待ってるから」って。待つよ。いくらでも。待つから、ちゃんと迎えにきてね』
レイ「あぁ、必ず迎えに行くよ」
互いの小指を絡ませる。
硬くなった指の腹が私の指先を撫でた。
レイがそこにキスを落とす。
レイ「もう少ししたら、ここにもっと良いの贈るから」
『えっ』
ぽぽぽ、と頬が赤くなる。
レイは面白おかしそうに笑った。
レイ「そろそろ夕飯の時間だな。戻るか」
『……茶化した？』
レイ「まさか。本気だよ。ずっと前から」
そしてレイはいつの日かのように私の唇を奪っていった。
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鯛だし塩ラーメン - 本当にないてしまいました。作品のクオリティもそうですが、今もガチ泣きしています。軽い気持ちで読み始めた作品でしたがクオリティの高さに驚き感銘を受けました。これで読むのは2週目ですがこの作品は月一で読みたいです。 (2月23日 0時) (
レス) @page49 id: fe38abeccf (このIDを非表示/違反報告)
黒灰白有無％(プロフ) - 何回も読み返します、色々伝えたいことはあるのですが、流石に失礼します！ほんとのに大好きです‼︎長文失礼しました (2023年1月10日 9時) (レス) @page49 id: 00e0ebd256 (このIDを非表示/違反報告)
黒灰白有無％(プロフ) - ずいぶん前ですけど、完結おめでとう御座います!本当に泣いてしまいましたし、言葉などとても綺麗です!物語ももちろん解説などとても感動しました!自分の好きな書き方で、とても尊敬しています。長編お疲れ様でしたずっと応援させて頂きます!とても楽しく面白かったです (2023年1月10日 9時) (レス) @page49 id: 00e0ebd256 (このIDを非表示/違反報告)
未麗 - 感動しました〜〜(T ^ T) ピーターとの関係性、家族愛、レイとの物語（？）全てに感動しました。これからも頑張ってください。応援してます！！ (2022年11月7日 10時) (レス) @page49 id: 68238521a7 (このIDを非表示/違反報告)
Luna - 途中でちょくちょく泣いちゃうようなお話でした！とても面白かったです！こんな素敵な作品を書いて下さりありがとうございました！ (2022年9月19日 1時) (レス) @page49 id: 3d29eeb498 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アイリス | 作成日時：2021年10月27日 7時
